第37話 記念凸待ち配信! ④

とりあえず三人のアバターの立ち絵を画面に表示させて配信を再開する。


「……えーっと、改めて紹介させていただきます。私の同期でミラライブ三期生の雪降マイカちゃんでーす」


するとマイカちゃんは何故か敬礼しながら、


「どもっ!もう既にビール一箱入ってるので元気MAXであります!」


「箱!?」


「あ、違う違う。500ml×24本じゃなくて、500ml×6本だから!そんなに飲まないよ〜サキちゃんったら〜」


「多分だけどどっちにしろ多いよね!?ていうかまだ飲んでるし!」


「ああこれ?サキちゃんのお母さんがくれたよ?」


「お母さんマジで何考えてるの!?……はあ……えーっと……次は同じく三期生の山神ミタマちゃんでーす……」


「にゃっ!?サキちゃんの元気が皆無にゃ!大丈夫にゃ!みーはボケないから安心してほしいのにゃ!」


「うおおぉぉぉ……みーちゃん好きぃぃ……」


「にゃあ!?ちょ、いきなり抱きつかないでほしいにゃ!みんな見てるにゃ!恥ずかしいにゃ!」


ちなみにみーちゃんはアバターと同じように少し日焼けしたラフな格好の女の子。そして……


「でかい……」


「にゃ!?どこ見てるのかにゃ!?」


そう。でかい。アバターはロリなのに、実物はデカい。スイカ…とまでは言わないが、D……いや、Eはあるだろうか……。いずれにせよ、こんなものを見せつけられた梨沙が今まで正気を保ってたのが不思議なくらいに……。


そう思って梨沙を見ると、もんのすごい顔をしていた。

微粒子レベルまで圧縮された梅干しを口いっぱいに詰め込まれた長しゅう力のような……マンドリルとブルドッグを足して2乗したような……まあ、そんな顔だ。

とにかく、その脂肪の塊を今すぐ削ぎ落としたいって感情がはっきりと伝わってくる。


「えーっと、最後は私のリア友のサリーでーす!」


「どもー!毎度のことながらお邪魔させていただいてる一般人のサリーでーす!」


「マイカちゃんとみーちゃんは今回が二回目のコラボなのにサリーは三回目っていうね」


「そもそもリア友を連れてくること自体が前代未聞ってマネさん言ってたよ」


「でしょうね」


【コメント】

:相変わらず仲いいなぁ

:それな

:既にてぇてぇ

:それな

:既に三期生はサキちゃんのハーレムに呑まれてしまった…

:それ言うなら一期生も二期生もでは…

:もうだめだぁおしまいだぁ


「あれ?なんか、私がミラライブ征服したみたいな雰囲気になってる?」


「実際してんじゃん」


「サリーさんや、言いがかりはやめておくれ」


「事実にゃ」


「サリーちゃんが正しい」


「あれ!?なんか三人とも仲いいね!?私だけ蚊帳の外感がすごい!」


「サキちゃん談義してたらめっちゃ仲良くなれたのよ」


「二人ともサキちゃん愛がすごかったにゃ。怖かったにゃ」


「……って、そうじゃないそうじゃない……。そもそも、なんで三人が一緒にいるの?」


みんな私とはコラボしたことがあるが、みーちゃんとマイカちゃんは雑談配信で一度だけ、梨沙に至っては他のライバーとの関わりなんて皆無のはずだが…


「ああ、あの人加瀬さんか」


「お察しの通りにゃ」


「『この住所のところに言ったら面白いことが起きるよ』ってメールが来て、いざ行ってみたら三期生の二人がいるもんだからびっくりしたよ」


「それで、意気投合して話してたらサキちゃんの家に凸ろうって話になって」


「サリーちゃんの案内でここまで来たというわけにゃ」


「そうですかい……ま、まあ来てくれてありがとね?反射的にツッコんじゃったけど、すっごい嬉しかったよ。まさか家まで来てくれるとは思わないもんね……」


嬉しさのあまり少し照れて「えへへ……」と笑うと三人とも表情が固まって……


「ほら、こういうところだよ」


「切り抜き班、迅速な仕事を」


「ほんとに無自覚なのかにゃ……?」


「どゆことぉ!?」


【コメント】

:あー… ¥10000

:うん。 ¥5000

:¥20000

:切り抜き班です。すぐに仕事に取り掛かります

:てぇぇぇぇてぇぇぇぇぇ…

:かわいい(確信)

:無自覚系なろう主人公ェ…

:はいはいハーレムハーレム


「ごめん、なんでこんなこと言われてるの?」


「ほら、本人は無自覚なんだよ」


「なるほど……この攻撃を普段から浴びてるのか……」


「これは……ダメにゃ……」


「ねえ、だからなんで!?」


「そんなことはさておき、今日はある企画を用意してあるにゃ!」


「ほうほう!わざわざ家まで来てパンツの色だけ教えて帰られたらどうしようって思ってたからありがたい!」


「あ、ちなみに白にゃ」


「私は白に水色の水玉模様だよ」


「サキなら私のパンツの色ぐらい知ってるでしょ?」


「二人とも、もっと羞恥心ってものを持とうか!?あと、サリーはなんでそんなこと言い出した!?わかるわけないでしょ!?」


「正解は白のレースでした〜!ちなみにこれを見た彼の反応は…」


「結構です!!そして、少なくとも配信中に言うことではない!!」


「そんなことよりサキちゃんのパンツの色が気になるのは私だけかな?」


「奇遇だね。私もだ」


「みーもにゃ」


……三人が私を取り囲み、ズボンに手をかける。


「ちょ、待って、黒の普通のやつだから!ていうかさっき配信中に鈴子さんに言わされたでしょ!?」


「忘れたにゃ」


「嘘かもしれないし」


「実際確認するのが一番手っ取り早いね」


「ちょ、やめっ……」



……。


「あれ?穿いてない?」


「サリーがパンツごとずり下げたからだよ!!やめろぉ!穿かせろ!配信中だぞぉぉ!」


他の二人はちゃんと(?)ズボンだけ掴んでたのに、サリーだけがパンツごとずり下げやがった……!配信中だし、なんならみーちゃんとは初対面だよ!?そんな状態でパンツの中身を……


「あうあうあうあうあうあう……」


「にゃあ!?サキちゃんが壊れたにゃあ!!!」


「だ、大丈夫!サキちゃん!誰も見てないから!」


「しっかりと目に焼き付けましたが?」


「「サリーちゃん!!」」


【コメント】

:てぇ…てぇ…?

:センシティブが過ぎる

:大丈夫かこの動画…

:とりあえず ¥10000

:オカズ代 ¥10000

:見たい(迫真) ¥10000

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