第28話 サリーと配信するよ ③

「あ、そういえばサリー」


「ん?」


「この立ち絵に関しては触れない方向でおk?」


【コメント】

:それな

:それ気になってた

:めっちゃ可愛くて好き

:もう、サリーちゃんもミラライブ入ればいいんじゃね

:いや強いw


「うっ……触れないようにしてたのに……」


「なんでよ!可愛いしアレも修正してもらったじゃん!」


そう!結局あの後で加瀬さんに連絡を入れて胸の部分に少し修正を入れたのだ!

梨沙曰く、『少しでもあればいい。絶壁は許さん』とのことなのでA〜Bカップといったところまで盛ってある。

本人は『まあ、これぐらいでいいかな。実際私もこれぐらいだし』と言っていた。


……君子危うきに近寄らずってね。だから私は梨沙の胸が実はAカップもあるのかどうか怪しいなんて絶対に言わない。そんなこと言っちゃったら配信中とはいえマジで殺されかねん。私はまだ死にたくない。


「……サキ、何か言った?」


「ん!?何も言ってないよ!?」


今まで聞いた中で一番身の危険を感じる声だったよ!?サリーの背後に死神の姿を幻視したもん!!


【コメント】

:アレってなんだろう

:……なるほど察した

:触れちゃいけないってことなんだろうな

:サキちゃんが本気でビビってる

:サリーちゃんからこんなにドスの利いた声が出るとは…

:カタカタ


「ほ、ほら!みんな怖がってるから抑えて!」


「……ッスー……」


深呼吸する梨沙。落ち着いて……頼むから落ち着いて……


「……ふう」


「……。よし、じゃあ次は最初にコメントでもあった登録者数の件だね」


「こういうのって、『何万人突破記念配信!!』とかやるよね?」


「そうそう。でもね、何するか全然決まってないんだよね……」


「あー、だから保留してるのか……。じゃあさ、凸待ち配信とかは?ああいうのって誕生日配信とかでやるイメージあるけどサキの誕生日もう過ぎちゃってるもんね」


「あ、それいいかもね。もう最近は誕生日なんてどうでもよくなってきて……」


「オバハンかよ」


【コメント】

:ふぁっ

:もう過ぎてたのか

:誕生日プレゼント贈りたいな

:そういえば収益化ってまだ?

:そろそろ収益化通りそうなもんだけどな


「収益化?ああ、完全に忘れてた。もう条件は達成してるみたいだから申請しとくね。じゃあ収益化記念と10万人突破記念を同時にって感じにしようかな。これってどれぐらいで通るもんなの?」


「早くて一週間、遅くても一ヶ月ってところじゃないかな。勝手なイメージだけど、チャンネル開設からの期間が短ければ短いほど審査にかかる時間が短くなると思うよ」


「なんで?」


「そんだけ勢いがあるってことは多くの収益をMeeTube側にもたらすからだよ。あと、規制に引っかかる動画がないかの検査をしやすいっていう利点もあるしね」


「ふむふむ…勉強になります」


「普段はサキに勉強教えてもらってばかりだからたまには、ね?」


【コメント】

:勉強教えてもらってるのか

:いいなぁ

:俺も教えてほしい

:家庭教師になってくれ

:ごめん、二次関数が全然わかんないんだけど教えてくんない?


「え、Vtuberに勉強の質問するとか聞いたことないんだけど?」


「Don't think, feel!」


「サキ!?どう考えても答えになってないよ!?」


「これ以上は有料になりまーす」


「あ、そういうことね……。でも私は何も払ってないよ?」


「あ、大丈夫。いっつもを補給させてもらってるからその対価だよ」


「なんか、めっちゃ怖い造語が出てきたんだけど!?」


ちなみにサリーゼの正式名称はだったりする。梨沙に抱きついたり髪の毛をスンスンしたりすると摂取できる、早紀が生きていく上で必須の酵素だったり。


ちなみに梨沙はその存在を知らない。

早紀以外にこの酵素を必要としているのなんて梨沙の彼氏の裕也くんぐらいだし。


「あ、もうそろそろいい時間だね。やりたいことも全部やったし、そろそろ終わろうかな?」


「そうだね。私としてはもっとサキと配信してたいけど……仕方ないか……」


「あ、今日はどうするの?明日学校だけど泊まっていくの?」


「あ、流石に今日は帰るよ。ていうかお母さんに無断で来てるからさっきから私のスマホがポケットの中でずっとブーブー言ってるよ。ウケる」


「ウケるじゃねえよ!!どう考えてもお母さんが心配して連絡してきてんじゃん!?早く出な!」


【コメント】

:いや草

:ひっでえw

:お母さん可哀想w

:めっちゃ心配してるだろ

:もう9時近いぞw

:いけない子じゃのう(ニコッ


「むぅ……わかったよ……あ、もしもし?……うわっ!!ちょ、いきなり怒鳴らないでよ!!……うん、今早紀ちゃんの家……いいじゃん!ちょっと事情があって連絡できなかったの!」


「ああ……サリーの言葉だけでサリーのお母さんが何言ってるか分かってしまうのが不思議だ……」


【コメント】

:それな

:なぜマイクをミュートにしないww

:通話の音大丈夫か?

:このコメント見てるサキちゃんがミュートにしないってことは別に聞かれてもいいやって思ってるってこと?

:ていうか待て、今電話口で『サキちゃん』って言ってたぞ

:ねぇプライバシーwww


「あ、私が配信やってることは私のお母さんもサリーのお母さんも知ってるからね。サキでちゃんと伝わるんだよ」


【コメント】

:ふーん

:ほんとかなぁ?

:でも声似てるんだよなぁ

:じー…

:怪しいなぁ…


「あれ?何の話?」


「あ、サリー。お母さんなんて言ってた?」


「泊まって行っていいってさ。学校で必要なものがあれば早起きして取りに来いだって」


「相変わらず緩い!!」


【コメント】

:いいお母さんじゃの

:いい…のか…?

:放任主義ってやつか…

:いつか痛い目見そうで心配…

:まあ、サキちゃんがいれば何かあっても大丈夫だろ



:サキちゃんなら相手がナイフ持ってようが関係なくワンパンしそうだな

:サキちゃん相手なんて拳銃持ってきてやっと勝てるって感じかな?



:いや、見てから回避余裕だろ

:どこぞのゾンビかよw

:多分マシンガンぐらい持ってこないと勝てん


「なんかコメント欄で私がどんどん化け物に仕立て上げられてるんだけど!?」


「まあ、サキならマシンガン相手だろうが余裕で勝てそうだけど」


「サリーまで!?」


結局、梨沙のお母さんの許可が出たということでその日は11時ぐらいまでずっと配信してた。明日も学校あるし、これ以上は支障が出ると判断してのこの時間。この前みたいに夜中まで配信して寝坊なんてしたら怒られちゃうからね。


私のお母さん?

なんか、最近配信のことに関してはめちゃくちゃ緩いのよね……。なんでだろ……社長に金でも掴まされてるのかな?



『《狐舞サキ/サリー》報告とか諸々。後は忘れてたアレコレも。《ミラライブ三期生/新人V》』


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