第27話 サリーと配信するよ ②

「ということで1つ目の質問いってみよーっ!」



『どうやってAIMの練習したのにゃ?』



「お、これはどう考えてもミタマちゃんだね!」


「あー……あの配信か。私も途中まで観てたけどサキ暴れまわってたね……」


「あれ?でもコメントしてなかったよね?」


「ああいうゲームのことはよくわからないからね」


「なるほどね。あ、AIMの練習方法だけどね、前にサリーとやったゲームが一番オススメかな」


「……そのゲームってもしかして」


「そう。ゾンビが弾丸見てから回避するやつ」


「あれをAIM練習に使う馬鹿がいるとは思わなかったよ!?」


【コメント】

:…

:思い出しただけで震えが

:あれ、銃の腕前関係ないと思うんだけど

:まあでももう一人HS量産してる人いるし

山神ミタマ🔧:了解にゃ!ゾンビ全滅させる耐久配信やってくるにゃ!

:ホラゲとは

:あれ別にゾンビ狩る想定のゲームじゃねえんだわ

:なんでゾンビを追いかける側なんだよこの狐と猫


「あれね、ゾンビが弾丸を避けたあとでほんのちょっとだけ硬直するんだよね。だから、回避位置を予測して二発目を撃ち込んでおけば当たるのよ。あとね、隣でぷるぷる震えてる可愛い親友がいれば『外すわけにはいかない!』って思えて確実に銃弾が命中するようになる」


「ツッコミどころが多すぎるんだけど!?」


【コメント】

:おう、せやな

:硬直(2tick)らしいぞ

:あんなん硬直とは言わん

:安定の化け物

:ゾンビなんかよりよっぽど怖いわその発言


「みんなも一回やってみたらわかるよ。意外と当たるもんだから」


「色々と釈然としないけど……まあいいや、次の質問はこちらっ!!」



『サキちゃんの苦手なことって何?』



「……苦手なこと?」


「……うーん……」


「サリー、なんか思いつく?」


「常識的な行動じゃない?」


「なんで急に毒吐くの!?」


【コメント】

:ないのかよw

:まあ、そうだろうなw

:虫とかは?

:常識的な行動かwww

:まあ、確かに苦手だなw

:辛いものが無理とか…

:実は不器用とか…


「あ、確かに!虫は嫌かな……」


「……高校のときのこと覚えてないの?教室にスズメバチが入ってきたことあったじゃん」


「何回かあるね」


「その度にサキがノートで『スパァァン!』って叩き落としてたよね?男連中とかみんな大慌てで逃げ出してたのに」


「……昔の話ですよ……」


「はい、ということでサキは虫大丈夫」


【コメント】

:ハチェ…

:スパァン…

:カタカタ

:叩かれたい

:叩き落されたい

:ノートて…

:ムカデとかゴキブリとか毛虫とか…

:サソリだろうがタランチュラだろうがワンパンするだろうな


「んで、辛いものも人並み以上には食べれるの知ってるし器用さに関しても問題はないんじゃないかな。ていうかサキの欠点なんて長年付き合ってる私が知らないんだから多分ないよ。ということで次の質問っ!」



『サキちゃんのパンツの色は?』



「私のパンツ?くr」


「ストォォォォォップ!!!」


【コメント】

:wwwwwwww

:いや草

:吹いたわ

:なるほど…

:質問も悪いけど答える方も悪いw

:黒の、どんなやつ?(ニコッ)


「なんで答えるかな!?」


「え、だって実際見られるわけじゃないし……」


「そういう問題!?ていうかパンツの色は大丈夫なのに恋人呼びはNGってどういう基準!?」


「きゃっ、恥ずかしい……」


「もう手遅れだと思うけど!?」


「ていうかこの質問は誰からよ……」


「マイカちゃんではないでしょ?てことは……多分二期生のあの人だね」


「ああ、そういえば初めての質問でパンツの色訊く変態といえばあの人しかいないね」


【コメント】

:ああ、なるほど

:納得

:まあ正解だろうな

:『あの人』だけで伝わる不思議

:もはやネットミームと言っても過言じゃないあの人


そう。サキたち三期生とはまだ一度も絡んでいないが、ミラライブには二期生がいる。まあ、一期生と三期生がいるんだから二期生がいるのは当たり前だが……。

その中に、えげつないぐらい変態の先輩がいるのだ。というか、二期生は全員ヤバいことで有名だったりする。それを含めミラライブ全体をまとめているのがイナ先輩だったりするのだが……まあ、この話はまた今度でいいだろう。

とにかく、だ。


「この変態はとりあえず無視するとして」


「無視するって言いながらはっきり答えちゃってたけど!?」


「大丈夫、みんな聞かなかったことにしてくれるさ。ということでサリーのパンツは」


「言わせないよ!?この話題続くの嫌だからさっさと次の質問いきまーす!次の質問はこちら!」




『お金と視聴者さんだったらどっちが大事ですか?』




……。


「……サキ?」


……なるほど……。今その質問入れてくるということは…メグ先輩だな。



……しかも、この訊き方ということは私が高畑社長に依頼された内容を知ってる可能性が高い。


いや、知ってるというより気付いてるの方が正しいかな。そんな素振りを見せたつもりはないが……。


メグ先輩は知識量に定評のあるライバー。

基本的には知識量=地頭の良さ。

難しい問題でもヒントを与えられると分かるようになるのと同じように、地頭力があると推理力が高くなる。私だってそうだ。昔読んだ心理学の論文やら銃の図鑑やら兵法書やらの内容を覚えていたから、ミタマちゃんとのコラボのときにすぐに初めてプレイするゲームに適応することができた。

どう推理したら分かるのか見当もつかないが、勘付かれている可能性もあると考えるのが賢明だろう。


まあ、とにかくこの質問を送ってきたのはメグ先輩かユウカ先輩で間違いないだろう。そして送ってきた本人もこの配信を観に来てる可能性は高い。

…。しかも、土曜日に決行する作戦のためにも私が二人のいざこざに関して知ってると悟られるのもマズい。また、どちらかに偏った意見も好ましくないだろう。

よって、正しい答えは……。


「うーん……どっちだろう。今の私は収益も何もないから私の友達になってくれたみんなのために配信頑張ろうって思えるけど、もし収益化が始まったらもしかしたらこの考えは変わっちゃうかもしれない。でもね、視聴者さんを喜ばせようと思って頑張ったら結果として収益も伸びるし、収益のために頑張ろうって思ってたとしても結局は視聴者さんを喜ばせることに繋がるしね。私はお金と視聴者さんはイコールだと思うんだ。お金だけのため!ってなってもダメだしお金なんかいらないからみんなに楽しんでほしい!っていうのも良くないと思う。例えばスパチャっていうのは視聴者さんから私達への応援の気持ちの現れだからそれを受け取らないのは私達を大事に思ってくれてる視聴者さんに申し訳ないしね。だから、大事なのはそこのバランスなんじゃないかなーっていうのが私の意見だよ」


【コメント】

:…

:…。

:かっけえ

:どこぞの先輩方に聞かせてやりたいな

:ていうか急に真面目な回答

:センシティブな問題だからでしょ…

:ということは当人が見てる可能性あるな

天使メグ🔧:…


やっぱりな……。もしかしたら社長からの依頼については気付いてない可能性はあるけど、とにかくあの質問を送ってきたのはメグ先輩だということが確定した。


「あれ!?メグ先輩!?ウッス!お疲れ様ッス!」


「うわあああ……また一期生だぁ……ってサキ!先輩に対する言葉遣いじゃないってばそれ!!!」


……もはや手遅れな気はするが、一応は気付かなかったフリをする。まあ、メグ先輩が気付いたということに私が気付いたということくらい気付いてるとは思うけど。……ややこしいな。


「ていうかサキ、めっちゃ真面目に答えててびっくりしたけど……もしかしてメグ先輩が来てるのに気付いてたの?」


おい梨沙!!なんでそんな馬鹿なことを!

……いや、梨沙には今回の件伝えてなかったしな……。知らなくて当然か……。


「いや、配信やってる身としてはこういう質問には真面目に答えるべきだと思ってさ。人間関係とお金のことで真面目にできない人は将来成功しないって言われてるんだよ?」


「ド正論なんだけどサキに言われるとなんか釈然としないなぁ」


「どういう意味かなそれ!?」


【コメント】

:なんとなくだけど、裏でものすごい駆け引きが行われてる気がする

:二人ともめっちゃ頭いいからなぁ…

:二人でクイズゲームコラボとかしたら面白そう

:この二人がコラボでもしたら視聴者全員置いてけぼりになる気がするな


「お、クイズゲームコラボいいねぇ!メグ先輩、もしよかったら今度やりましょ!」


【コメント】

天使メグ🔧:いいですよ。返り討ちにして差し上げます!

:宣戦布告で草

:楽しみだ

:さて、最後まで聞ける問題文はあるのだろうか

:この二人の知識が合わさってできないことがあるとは思えん

:メグちゃんとサキちゃんなら数学の未解決なんたらも解決しちゃいそう

:なんだよ超次元クイズって聞いたことねぇよ

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