第26話 サリーと配信するよ ①
『《狐舞サキ/サリー》報告とか諸々。後は忘れてたアレコレも。《ミラライブ三期生/新人V》』
19:00に公開予定 2.6万人が待機中
【コメント】
:おー!
:昨日は配信なかったからなぁ…
:禁断症状が…
:ていうかサリーちゃん来てるのか
:この二人の絡み面白いから好き
さて、今回の配信には今までと違うことがいくつかある。まず…
【コメント】
:お
:オープニングだ
:かわいい
:…この設定もうないみたいなもんだけど…
そう。オープニングがついたのだ。
内容としては、狐舞サキをデフォルメした感じのちびキャラが布団から起き出してPCの前に行って配信を始め、どんどん楽しくなって最後には狐耳が飛び出してフードが外れたのをコメントで指摘されてびっくりしてひっくり返るという内容だ。
……『この設定』というのは、狐耳のことだろう。
最近の配信では最初から最後までずっと狐耳出しっぱなしだから。だってアレ、ある程度の声量に反応して出るようになってるから何かツッコミするだけで出ちゃうし戻す方法がわからないんだもん。
ASMRとかするようになったらもしかしたらずっとしまいっぱなしになるかもね。需要ないと思うからやるかどうかは知らんけど。
「えーっと、みんな!こんばんは!サキだよ!」
「どうも!サリーです!今日もお邪魔させていただいてます!」
【コメント】
:わーい
:ていうか10万人突破してるんだが?
:登録者数に頓着しない配信者の鑑
:ワロス
「あ、その件には後で触れますね。そんなことより私、決めなきゃいけないこととかやらなきゃいけないことを色々すっ飛ばしてたみたいで……」
「あー……確かに。例えば?」
「まず、視聴者さんの呼び方かな。この前コラボしたミタマちゃんは、『猫ヲタ』って呼んでた」
「うーん……難しいね……。ミタマちゃんは猫キャラ貫き通してるからそれで問題ないかもだけどサキの場合は、ねえ……」
「こーんこーん!こんこーん!」
「今更それっぽいことしようとしても無駄だと思うよ?」
【コメント】
:てぇてぇ
:早いww
:コンコンもう一回お願いします
:www
:可愛かったな
:ていうか狐どうこうよりなろう主人公ってキャラが定着しすぎて
:どこぞのキリ◯君もびっくりの万能さよ
:だって『レティクルを合わせてクリックするだけのゲーム』だもんな
:配信する度に何かしらはトレンド系女子
・
・
・
:無限トレンド生産マシーン
:マイカちゃんコラボの時は確か津軽海峡がトレンドだったな
:ちなみに今は黒パーカーがずっと上位にいるぞ
・
・
・
:そういやサキちゃんの服黒パーカーだな
:でもあれって確かニュースの…
:…待て、あの子の名前も確か…
「……!?さ、さあ!実は私、もう一つ忘れてたことがありまして!!」
「そ、そうだね!何かな!!」
「段ボールの設置と、配信タグのことです!」
「一つって言いながら二つ言っていくスタイル」
【コメント】
:……?
:何やら慌ててらっしゃる
:どうしたんだろ
:サリーちゃんが何か落としたとかか?
あっぶね。まさかあの話題が出てくるとは思わんかったわ。
あ、ちなみに段ボールとは視聴者さんが匿名で質問を送れるサイトの通称。画面が単調だったりしゃべることがなくなったときにこれに届いた質問に答えることによって尺を繋いだりする。
配信タグとは、配信予定をシイートする時などにつける特定のタグのこと。これの通知をONにしていたら、配信に来やすくなるというメリットがある。
「とはいえ同期ではまだ誰も配信タグ決めてないみたいだし、もう段ボールは設置してあるから今回決めるのは視聴者さんをなんて呼ぶか、だね。サリー、どうやって決めようか」
「うーん……とりあえず視聴者さんの意見を聞くのが定石かな。他のVTuberさんたちはコメントで出たアイデアをいくつかピックアップして決めたりしてるかな」
「ふむふむ……じゃあどしどしコメントどぞっ!!!」
【コメント】
:読者
:モブ
:引きこもり
:神話の見届人
:耳溶けし者
:まともな意見出る気がしないのは俺だけかな?
「マジでまともな案出てこないね!?」
「うーん……こっちで決めるしかないか……」
「じゃあさ、みんなと仲良くなりたい引きこもりっていう最初の設定を活かして『友達』なんてどう?『みんなの友達、サキだよーっ!』みたいな」
「よし、そのスタイルで行くなら『恋人』にしよう」
【コメント】
:ガタッ
:ガタッ
:恋人に一票
:サリーちゃん最高
:サリーちゃん、ナイス
:それで行こう
:恋人に変えてもう一度
雪降マイカ🔧:サキちゃんは私の恋人だもんっ!
・
・
・
:クーポンがいる
:ただのポンでは?
:昨日の飲酒配信面白かった
:これからは酔っぱらいキャラでいくのかな…
「あ、マイカちゃん来てる!いやー……この前のコラボのときは……」
「はぐらかさないで。ちゃんと恋人のみんなに挨拶なさい」
「もう恋人で決定なのかな!?」
「それはまだ分からないけど私と恋人さん達の中ではもう決定してる」
「じゃあもう決定じゃんか!?」
しかもさりげなく視聴者さんのこと既に恋人呼びしてるし。
「え、えーっと……み、みんなの恋人、サキだよーっ!……ごめん、無理、恥ずかしい。死ぬ」
「ということで恋人に決定……って、うわっ!サキの顔真っ赤なんだけど!?」
「当たり前でしょうが……初配信のこと思い出しちゃうからぁ……」
【コメント】
:はい、決定
:耳が死んだ
:てぇてぇ
:可愛いが過ぎるって
:みんなの恋人よりあなたの恋人の方がいい気がしたのは俺だけ?
:もう決定だな
「待って、まだ進化するの?」
「まあ、みんなの恋人だろうがあなたの恋人だろうがサキのダメージは変わらないでしょ。さん、はい」
「え、また!?あ、えっと……あ、あなたの恋人、サキだよーっ……」
ゴンッ!
「うおおお!?サキ!?ほら!顔上げて!画面固まってるから!」
【コメント】
:台ゴンwwwww
:大丈夫?w
:かなり強く打ったんじゃ…
:恋人の俺が介抱してやるよ
:大丈夫か俺の彼女
:俺の家来いよ、治してやる
:彼氏のこと、頼ってくれてもいいんだぜ
:お前ら、俺の恋人に何言ってんの?
:修羅場wwww
「……うん、やっぱダメだ。無理。友達でいこう」
「むぅ……じゃあ、記念配信とかで時々は恋人使うこと。いいね?」
「ぐっ……わ、分かった……」
「はい、悔いは残りますが視聴者さんたちの呼び方は『友達』に決定しましたー!」
「ふう……じゃあ、次は段ボールの話だね。一応他のライバーのみんなには開設したこと先に言ってあるからいくつか質問が来てるんだよね」
「ということで1つ目の質問いってみよーっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます