第20話 初めてのFPSだにゃ!! ①

『《山神ミタマ/狐舞サキ》今日はサキちゃんと一緒にPABGやるにゃ!必見にゃ!《ミラライブ三期生/新人V》』

20:00に公開予定 2.6万人が待機中


【コメント】

:おお、ついにか

:楽しみだな

:サキちゃんFPSやったことあるんかな?

:まあ、関係ないだろ

:だな


「猫ヲタのみんな、こんにゃ!今日はタイトルにもある通り、サキちゃんとのコラボだにゃ!」


『どうも!今日はにゃーにゃーうるさい猫を蜂の巣にしに来たにゃ!サキだにゃ!』


「にゃ!?声真似しないでほしいにゃ!どっちだかわからなにゃくなるにゃ!」


『みーこそ私の声真似しないでほしいにゃ!』


「にゃにゃ!?言いがかりだにゃ!!」


【コメント】

:めっちゃ声真似上手ぇ…

:どっちがどっちだかw

:マジでなんでもできるんだなw

:なろう主人公超えてね?

:ミタマちゃんが可哀想だww


「はい、ふざけてないで本題に入るにゃ!今日は一緒にPABGをやるにゃ!」


『うん、確かまとに銃弾を打ち込んでたらドン勝が食べれるFPSゲームだったよね?』


「超大作FPSだけど、ご覧の通りサキちゃんには事前知識0だにゃ!方やみーはかなりのベテランで、配信でも何回かやってるからみんなも実力は分かってると思うにゃ!」


【コメント】

:うむ、化け物級だな

:ドラッグショットの上手さ半端ない

:2連続でドン勝するまで耐久と銘打った配信が40分で終わるという伝説

:今回はサキちゃんがキャリーされる回かー


「にゃ、今回はキャリーはしないにゃ!」


『え?めっちゃ足引っ張っちゃうんじゃ…』


「サキちゃんなら大丈夫だにゃ」


『え、でも完全初見』


「大丈夫だにゃ」


【コメント】

:ひどいww

:まあ、大丈夫だろ

:謎の信頼w

:FPSの中でもシンプルなゲームだしな

:にしてもwww


「まあ、とにかく始めるにゃ!」


『お、おう…』


「サキちゃんは初めてのプレイだからキャラメイクからだにゃ。その間みーがトークして繋いでおくからなるはやで頼むにゃ」


『りょーかい!じっくり考えて一時間ぐらいかけて完璧に可愛いキャラ作るね!』


「話聞いてたかにゃ!?」



5分後。



「つまりシュレディンガーの猫というのは、箱の中には生きている状態の猫と…」


『あ、みーちゃん!キャラメイク終わったよ!』


「おー!思ってた10倍ぐらい早かったにゃ!助かったにゃ!」


『マジで1時間覚悟してたの!?それぐらいの話の内容だった気がするよ!?』


「早く終わったならそれでいいにゃ!早速戦場にGOだにゃ!」


『え、でも操作方法とか』


「やってたらサキちゃんなら分かるにゃ!質問してくれたら都度教えるにゃ!」


【コメント】

:本気かよwww

:かわいそwww

:まあでもなんとかなりそうって思っちゃうのが不思議

:それな

:普通は降りた瞬間殺されて終わりだわな


『えっと…とりあえずここで待ってればいいのかな?』


「ここが待機島にゃ!この後みー達は飛行機に収容されて本島に連れて行かれるのにゃ。そこで銃とかを拾ってバンバンやって最後まで生き残るのが目的にゃ!」


『分かった!つまりまずはみーちゃんを撃ち殺せばいいのね?』


「よくないにゃよ!?これはデュオモードだからみー達は仲間だにゃ!」


『えー…FFフレンドリーファイアはなしなの?』


「なしに決まってるにゃ!コラボしてるV同士でいがみ合ってどうするにゃ!?」


【コメント】

:コラボ相手に対する殺意高すぎて草w

:FFなしって分かった上でミタマちゃん狙って撃ちそう

:www

:どんだけ殺したいんだよw


「にゃ、始まったにゃ!みーがマップにピン立てるから、その街に一緒に降りてほしいにゃ。ある程度物資が集まったら街の端っこにある教会集合にゃ」


『????えっと、マップはえーっと…このキーか。そんで、降りるのはこれ、視点移動はマウスで移動はWASDかな?ねえみーちゃん、アイテム拾うのと銃撃つのはどのボタン?』


「アイテムにカーソル合わせてEで拾うにゃ。銃撃つのは左クリックだにゃ。一応言っとくとマチェットなんかの近接攻撃武器を振るのも左クリックでOKだにゃ。あ、そういえばサキちゃん、降下の距離感は大丈夫かにゃ?」


『うん、イギリス住んでたときにスカイダイビングやったことあるから大体の距離感は大丈夫!』


「まさかのリアルで!?」


【コメント】

:www

:もしかしてだけどその後バトロワしてきたとか言わんよな?

:さすがにww

:何気にミタマちゃんが初めて語尾を忘れた瞬間だ

:確かにw

:ていうかミタマちゃんがピン刺してるのド真ん中の激戦区なんだが?

:ほんとだww

:完全にサキちゃん殺す気満々で草


『わっ!私が降りた家に他の人も降りてきたんだけど!!』


「殺すにゃ」


『そんな端的な指示!?』


「弾を数発頭にブチ込めば大体死ぬにゃ」


『なんか仕事人モードに入ってる!?ていうか落ちてた銃取られたんだけど!』


まあ、サキちゃんならどうせ大丈夫だにゃ――そう思った次の瞬間、


《Saki_KomaiがバールのようなものでXXXXXXを倒しました》


「は?」


【コメント】

:は?ww

:見間違いかな?

:残念現実だ

:初キルがバールのようなものって何?

:カタカタ


『ふう…なんとか勝てたよ…』


「予想の遥か上をいかないでほしいにゃ…。確かにサキちゃんだったら大丈夫だとは思ったけど殴り勝つとは思わなかったにゃ…まあでも、相手の銃がスナイパーやピストルだったりしたら…」


『えっと、遺品は…UMP9か。確かドイツの短機関銃だっけ?』


「室内戦でUMP9相手に近接で勝った!?しかもなんでそんなこと知ってるのにゃ!?」


『え、知ってるからとしか…』


「そんな哲学的なこと訊いてないにゃ…」


サキが陰キャ時代に読破した大量の本の中にそういう本があっただけの話。もちろんミタマはそんなこと知らないが。


そしてしばらくして…


《Mitama_CatがAKMヘッドショットでXXXXXXを倒しました》


《Mitama_CatがAKMヘッドショットでXXXXXXを倒しました》


《Saki_KomaiがUMP9ヘッドショットでXXXXXXを倒しました》


《Mitama_Catが手榴弾でXXXXXXを倒しました》


《Saki_KomaiがKar98kヘッドショットでXXXXXXを倒しました》


《Mitama_CatがUMP9ヘッドショットでXXXXXXを倒しました》


《Saki_KomaiがSKSヘッドショットでXXXXXXを倒しました》


『ふう…これで多分この街は私達二人だけかな?』


「この狐バケモンにゃあ…みんな早く逃げるにゃあ…」


【コメント】

:いや、お前もな?

:それな

:化け物二人おるぞ…

:やべえな

:銃でのキル二人とも全部HSってマ?

:ま。

:チート使ってんじゃねえのww

:配信しながらチート使う馬鹿がどこにwww


「みーはチートなんか使ってない正真正銘のAIM力にゃ!でも多分サキちゃんは…」


『やってないよ!?そもそもレティクル合わせてクリックするだけのゲームにチートなんていらないよね!?』


「と、容疑者は供述しており…」


【コメント】

:名言出たな

:『レティクル合わせてクリックするだけのゲーム』www

:プロじゃなきゃ言えんw

:プロでも言わんぞww

:『弾道予測線を予測するゲーム』以来の名言

:あいつと同レベルなの草

:少なくともプレイ時間10分足らずの初心者の言葉ではないw

:でも全部HSだしなぁ…

:やっぱりなろう主人公

:おい待てお前ら、ミタマちゃんのAIM力には触れんのか?

:努力の結果だもん

:プレイ時間4桁超えてるんやぞ?


『みーちゃんもめっちゃ倒してるじゃん!すごい!』


「初めて数分でみーを抜かしそうな初心者にそんなこと言われたくないにゃ…」


パァーン…パパパパ…


『ん!?みーちゃん!S方向150mぐらいのところで撃ち合ってるよ!どうする?』


「だから、なんで初心者のはずなのに銃声の方向だけじゃなく距離まで一瞬で算出できるんにゃ!?」


『うーん…きっとマネさんが送ってくれたPCとヘッドホンの性能がいいんだよ!』


「多分だけどみーと同じ最新型のやつのはずにゃんよ!?」


『まあまあそれは置いといて、どうする?行く?』


「サキちゃん血の気多いにゃ…そっちは範囲外の方向だし、距離も結構あるから放置でいいにゃ。どうしても倒したいならこの先の橋で検問かけるにゃ」


『あ、確かにね!それで検問って?』


「橋とかで待ち伏せて、敵が通った瞬間に一瞬で蜂の巣にする戦術のことにゃ。それだと安全だし確実だにゃ」


『あー、だから検問か!勉強になります!』


「理解が早い子は好きだにゃ!」


『えへへ』


「…理解早すぎて怖いんにゃけどね…」

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