第14話 マイカちゃんとカラオケコラボ!!

「ふっふっふ…後で吠え面かくなよ…?」


「その言葉、すぐ後悔することになるぜ…!」


「やってみるがいい…!」


【コメント】

:ねえ、これっててぇてぇなの?

:どこがだよwww

:あれ、Vの配信見てたはずなのに

:どっかの格闘アニメ観てる気分

:どっちが勝つんだろうなぁ

:どっちが北斗神拳伝承者になるのかなぁ


そんなコメントを尻目にマイカちゃんが曲を選んで入力し、歌が始まった。


……。え、上手すぎない?画面見る限り音程全部ピタッと合ってるしビブラートなんかの綺麗さも半端ない。

……って、大事なのはそこじゃないかも。


その透き通るような歌声はまるで聴く者全てを魅了する天女の歌声。


バトる相手のはずの私でさえ思わず聞き入ってしまう。

やばい、もっと聴いていたい。


しかし無情にも曲が終わり、採点画面へ。


「えーっと…98点か、まあそんなもんかな」


「参りましたぁ!!」


「えええ!?」


【コメント】

:そりゃそうなるわ

:格の違い見せつけられた気分なんだろうな

:バケモンすぎる

:Vよりも歌い手とかの方が合ってるんじゃ


「でもほら、99点以上出せばサキの勝ちだからさ、頑張って!」


「もはや嫌味にしか聞こえないよ!?」


【コメント】

:嫌味だろw

:というか勝利宣言だろ

:なろう主人公、負けるのか

:ていうか普通にサキちゃんの歌声が気になる

:これでめっちゃ音痴とかだったら笑う


「ほらほら〜、早く曲選んで〜」


「くっ…完全に煽ってきてやがる…」


純粋な歌唱力では正直勝てる気がせん。

ならばお笑いに走るか別の角度で攻めるか…。


「お、覚悟が決まったみたいだね。さて、なんの曲かな?」


「♪I need somebody (Help!) not just anybody (Help!) you know I need someone Help!…」


「洋楽!?」


【コメント】

:なるほどそう来たか

:いや、上手すぎだろw

:点数で勝ち目ないと思って視聴者投票に賭けたか?

:ていうかもう勝ち目ないから『help』なのかw

:ワロタw


そうだよ!なんか悪いか!勝てない戦いに無策で挑むほど馬鹿じゃねえんだよ私はぁ!!


「うっ…相変わらず発音いい…」


【コメント】

:それな

:帰国子女だもんなぁ(遠い目)

:しかも歌上手え

:多分だけど音程ぴったりなんじゃね?

:こっちが本家って言われても納得できるレベルだな

:カバーしてアルバムでも出したら売れそう


「うわ、今カラオケの画面見てるんだけどガチで音程ぴったりだよ」


ふう……。歌い終わった……。


「さて、点数は……」



「97点……!?」


くそぅ……やっぱ勝てないか……。

音程は流石にほとんど合ってたのだがやはり細かいテクニックの分で負けてしまった……。


【コメント】

:もはやどっちが勝ちなんかわからねえ…

:どっちも勝ちだろ

:次元が違うんだが?

:完全にヤムチャしてたわ

:そもそも採点基準が難しすぎる

:完全に別の種目に持っていってるんだよなぁ


「も……もう一回よ!」


「え?あ、い、いいけど……なんでマイカちゃんが負けた雰囲気出してるの?」


「さて、次の曲は……」


「もはや聞いてねえ……」


次にマイカちゃんが選んだのはボカロ曲。この曲は音程やテンポが複雑で難しく、プロの歌手でも高得点を出すのは難しいのだが……


「99点とな!?」


「ふう……ほら、次はサキの番だよっ!」


そんな勝ち誇ったような顔されましても。




「――――津◯海峡冬景色ぃ〜!」


「98点!?」


「また負けたぁ!!やっぱマイカちゃんすごいy」


「も、もう一回よ!!」


「ねえ、だからなんで負けたみたいな雰囲気出してるの!?」



【コメント】

:やべえwwww

:何このハイレベルな戦いwww

:神話の世界に迷い込んだんだな

:レベル1でいきなりラスダンに迷いこんだ気分だ

:洋楽から演歌まで…さすがはなろう主人公

:でもなろう主人公に辛うじて勝ち続けてるマイカちゃんもやばすぎ




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「はあ……はあ……きゅ、98点……また負けた……」


「くっ……まだまだ……」


「そ、そろそろ休も!マイカちゃんフラフラだよ!?」


あれから二人で交代で歌い続けて数時間。もうお互い何曲歌ったかも覚えていないがとりあえず私が一度も勝ててないのだけは確かだ。


「だめ……次こそ勝つ……」


「だからずっと勝ってるんだってば!……って、マイカちゃん!?マイカちゃん!!」


なんと、フラフラの状態でマイクを持って立ち上がったマイカちゃんが急に倒れたのだ!

やっぱ無理してたんじゃ……ってそうじゃない!!


「ああ、えっと、とりあえず心臓は動いてる、息もしてる。てことは気絶してるだけ。ならソファに寝かせて安静に……。なんで倒れた?やっぱ歌い続けたのが原因で脱水症状が濃厚?お酒も飲んでたし多分そうかな。えっと、マイカちゃん!マイカちゃん!ほら!お水飲んで!」


「ん……サキ……ちゃん……?」


「いいからこれ飲んで!」


「ん、んぐっ……」


えーっと、後は何すれば良いんだっけ。


「マイカちゃん、体調悪いところない?」


「ん……ちょっと頭痛いだけ……あとは喉がイガイガする」


「喉はお酒と歌い過ぎが原因だよ!?えっと、じゃあ多分安静にしとけば大丈夫かな。最近体調悪かったとかないよね?」


「うん、大丈夫」


ふう……よかった……。なんかの病気が私とのコラボのせいで悪化したとかなら申し訳無さ過ぎるからね……。


【コメント】

:看病手慣れてて草

:マイカちゃん大丈夫なん?

:無理するから…

:あれ、そういえばサキちゃんは体調大丈夫?


「私?私は体調管理ちゃんとしてるからね。お酒も飲んでないしちゃんと水分補給してるから問題なっしんぐ!」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「みんな、心配かけてごめんなさい!もう大丈夫だから安心してね!」


「もう……無理しちゃ駄目だからね?」


「てへっ」


「かわいいかよ」


【コメント】

:マジで心配した

:ドサッていったもんな

:サキちゃんがいなければどうなっていたことか…


「あ、そうだ!私とサキちゃんの馴れ初めについてお話していい?」


「私はいいけど……マイカちゃん大丈夫?」


「うん、もう平気。こう見えても打たれ強いのです!」


「……ちゃんそっか。無理しないでね?」


【コメント】

:何があったんだwww

:町中でぶつかったとかかな

:どうせなろう小説

:何やらかしたんだサキちゃん

:ああ…(諦め)


「なんか、私が不当な評価受けてる気がするんだけど気のせいかな?」


「うん、気のせい。えっと、私最近全然体動かしてなかったから運動しなきゃなーって思って家の近くを散歩してたのよ」


「相変わらず適当な扱いされてて泣きそう」


「それでね、そろそろ帰ろっかなって思ってたら男の人が『友達が怪我しちゃって!すみません!応急処置手伝ってください!』って言ってきたの」


【コメント】

:えっそれ

:まさか

:常套手段じゃね

:まさかマイカちゃん……

:隣りにいるのがなろう主人公って時点でもうこの後の展開まで予測できたんだが?


「それで……その、男の人がね、いきなりズボンを下ろしまして…」


【コメント】

:は?

:殺すぞ

:誰そいつ

:だろうな

:それがサキちゃんだった、と

:やべえ


「なんで私!?」


「はい、それで、襲われそうになったところで颯爽と現れたのがサキだったのです!!」


【コメント】

:あー、うん

:だろうね

:強すぎるw


「サキったらその人の顎に蹴り入れてワンパンよ。人が吹っ飛ぶところ初めて見たわ」


【コメント】

:顎……

:可哀想に……

:吹っ飛ぶのかぁ……

:俺も蹴られたい

:運が悪かったなそいつ……


「なんか性犯罪者のほうが心配されてる?」


「それでサキが、私のことぎゅーってしながら『大丈夫、安心して』って!!もうね、惚れた。冗談抜きに惚れました。サキ、結婚を前提に私と付き合って」


【コメント】

:まあ、惚れるわな

:イケメンすぎんか?

:可愛くてイケメンって何?

:てぇてぇ

:おい、配信しながらプロポーズしたぞ

:前代未聞すぎるwww

:どんどんハーレムが拡大されていく…

:ああ、マイカちゃんが53人めか…


「プロポーズ!?あ、いや、私、百合はNGなので……」


「私じゃ……ダメ?」


「あーもう!!あざあとすぎるよマイカちゃん!?でもダメだから!」


「むぅ……」


「あーもう拗ねないでよ!ほら、ぎゅーってしてあげるから……」


「……んっ」


「はい、ぎゅー」


「えへへへ…」


【コメント】

:てぇてぇ

:てぇてぇ

:てぇてぇが過ぎる

:耳が

:画面の向こうで繰り広げられてる光景想像しただけで死ねる

:死んだ


「はい、もういいでしょ?……って、ちょ、マイカちゃん?」


「今気づいたけど年下のくせに私より立派なもんつけおって……許せん……」


「だめ、ちょ、そんなとこ触らないで!おい!先っぽ摘むな!」


【コメント】

:!?

:マイカちゃん!?

:急展開www

:てぇてぇ…

:マイカちゃん…

:やべえ、俺の息子が暴れだした…


「こらぁ!悪ふざけするな!」


「む……今日はここまでにしとくか……」


「今日はって何!?次なんてないよ!?」


「え……もうコラボしてくれないの……?」


「いや、コラボは楽しいからするけどこんなことするんだったらもうぎゅってしてあげない!」


「ご……ごめんって……あ、ほら、私のも触っていいから」


「そういう問題じゃねえええええ!!!!」


あとあんた触ってもそんなに感触いいものついてない……ってごめんじゃんそんなに睨まないでよマイカちゃん。



『《狐舞サキ/雪降マイカ》オフでたまたま会ったのでコラボすることになったわ。私の隣にサキちゃんがいるわよ❄《ミラライブ三期生/新人V》』

1.7万人が視聴 0分前に配信済み

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る