74.さよなら悪魔国、ようこそ天使国

さて、パーティーが明けいつもの服に着替えたハル達一同。そこにガブリエルとミカエル及び天使の一団がいた。



 「あれ、どうしてですか?」

 「どうしてと言われても、確か今日から天使国で過ごす予定ですよね」

 「あ、そっか」

 そろそろ約束の後半。ハル達はその事を思い出した。

 そこに何事かとリリス達もやって来た。

 リリスはガブリエル達を見て察した様だった。

 


 「そうか、今日で去るのか、忘れておったわ」

 「えー、じゃあもうハル達とお別れなの?」

 とルシファーは駄々をこね始めたが、ハルが優しく諭した。

 


 「大丈夫よ、どうせ天使国の方にも行くんでしょ?」

 「うん……」

 「ならすぐに会えるわ」

 「……そうだね」

 ルシファーは少し寂しそうにしかし、笑顔でそう答えた。



 「では、私達は先に戻りますので」

 「はい」

 「それなら今からお見送りをしなければな!」

 そして案内されたのは大広間だった。

 ガブリエル達は、ガブリエルの1.5倍はある鏡を出して振り向いてこう言った。



 「それではハル様、またすぐに。それとリリス陛下。いつでも歓迎いたしますわ」

 「待ってますわ、ハル様。ルシファーもね」

 「うん」

 「分かったぞ」

 「うん!」

 そう言い、天使達は鏡を使って天使国に帰っていた。 

 天使達の一団がいなくなり、鏡も消えるとリリスはハル達の方を向いて言った。



 「次はお主らじゃの、馬車は門前に既におる。それとさっきも言ったようにまた会えるからの」

 「ハル、少しのお別れだね」

 「そうね」

 そう言って、ハル達は馬車に乗り込んだ。

全員が乗ったと同時に馬車は走り出す。

 ハルは後ろの方を見ると、リリスやルシファー、そして彼女の兄である王子達が名残惜しそうに手を振っていた。ハルは彼らが見えなくなるまでずっと手を振っていた。


 さて、悪魔国を抜け、天使国と繋がるトンネルに入ったとき、ショコラはハルに向かって聞いた。



 「大丈夫か? どうやらかなり忙しかったようだが」

 「ええ、正直、凄く疲れたわ……」

 「だろうな~~目に隈出来てるもん」

 「……やっぱり?」

 「うん、3か月ぶっ通しで本読むオマエが疲れる事なんてあるんだなぁって」

 「バカ言わないでよ……」

 そう言って、ハルは馬車に備え付けられていたベッドで寝ることにした……が、悪魔国で何冊か本を借りていたことを思い出し、早速それらを読み始めた。 

 しかし、興味よりも結局は睡魔には勝てなかったのか、借りてきたうちの版数を読み終える頃には既にグースカ寝ており、その後、寝るために来たショコラが呆れたようにしかしどこか安心したように、布団をかけた。



 さて、グースカと寝ていた一団だが、突如周りが光り輝き何事かと思い外を見ると何と眩い天使国が見えていた。

 ハルは先に目覚めていたショコラと共に、その様子を共に見ていた。



 「ショコラさん、……何というか朝焼けの生産場所って感じがしますね……」

 「そうだな……悪魔の方とはまた違った荘厳さを感じるぞ」

 するとそこに起きてきたルチアと彼女にくっついてきたミスティもやって来てその景色を見た。



 そして、天使界の門が開き彼女達はそれは素晴らしき世界を目の当たりにすることになる。

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