61.ブチ切れて終戦
ショコラですら割り込むことが難しいリリスとガブリエルの攻防戦は激しさを増し、そろそろクライマックスを迎える頃だった。
ショコラとハルの2人はただ少し離れたところで見守る事しか出来ず、この戦いを見守っていた。
「あら、リリスそろそろ疲れてきたんじゃないの?」
「それはお互い様だろう? そろそろ決めるぞ」
「ええ」
そう言うとリリスからはどす黒く小さな球体がたくさん現れ、もう一方のガブリエルからは神々しい光が束となり、筒のようになった。
「にしても凄いな……」
「そうですね……ショコラさん」
その光景にただ見とれていた2人だったが、次の瞬間、正気に帰った。黒い球体と光の束が同時に激突し、互いを打ち消しあったが、なんとその衝撃波が図書館の方にやって来たのだ!
ドオオンと轟音がなり、音が鳴った方を見る2人、図書館は無事でショコラがホッとしたのも束の間、となりにいるハルの形相を見てショコラは(これはマズい!)と悟った。
横にいるハルは既に顔が真っ赤になっており、完全にブチ切れているようだった。すると、どこからか本を取り出し、とある呪文を唱えた。
互いに消耗してあるであろうリリスとガブリエルはまだお互いに攻撃を仕掛けようとしていたが、2人は違和感を感じたのだ。
そう、なぜが首に鎖がかかっており、自由に動けない。その事に2人は恐怖したが、ここで終わらない。
近くから、ゆっくりゆっくりと怒髪天を越えたハルがきた。
2人はこの世の終わりのような表情で逃げることも出来ずにただただ怯えていた。
「流石にね、私もしばらくは見守っていようと思ったよ?」
「はい……」
「でもね? 流石に私の大切な図書館に傷をつけようとするのはどうかと思うのよね? いやでしょ? あなたたちも大事な娘さん傷つけられたら」
「おっしゃるとおりで……」
その後、2人は即捕らえられ、応接室でものの見事に堪忍袋の緒が切れたハルによって正座されられ、説教されていた。
本来ならここで天使族や悪魔族の誰かが「不敬だ!」と言って止められてもおかしくないが全員、女王が捕らわれていると言うこととハルの気迫に押されて、誰も意見できなかった。
ショコラもこの状態のハルを止めることは出来ないと十二分に承知しているので、何も言わずにただ応接室のドアの前で立っているだけだった。
「さて、とりあえず今2人にはこの前あんたらの娘に′ついうっかり′でかけた『強制契約魔法』がかかっている。言うなれば私はあんたらに命令できる立場。ということで命じるわ『天使と悪魔との和平を結んで』」
「そんなバカな!」
「いくら何でも!?」
ハルが無茶を言い出したので驚く天使達と悪魔達だったが、ハルが睨みまた、命令違反と言うことで鎖が2人を締め付ける。
焦ったリリスとガブリエルはその場で和平を結び、ここにおいて天使族と悪魔族の戦いは終結した。
その後、2人の鎖を解除し、なおかつ先程までの無礼をハルは謝ったが寧ろ、こちらが申し訳なるほど謝られ、ハルは疑問に思った。
そして、逃げるように去っていた2つの種族を見て、ショコラは呟いた。
「……読書の邪魔はしないようにしよっ……」
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