第3話 かおるオンナ

俺はかおると名乗る女が好きだ。かおるは、飴村乱数って言うヒプマイのキャラクターが好きで、飴村かおるとも名乗っている。年齢は不詳だが、20代前半だと思う。ポケカラというアプリ上でしかその女のことは分からない。でも、とにかく、声が好きすぎる。かおる自身もどうやら自分の声が好きらしい。それで歌が上手。かおるの歌は、すごくえっちいです。低音が好きな女の子が言う、「子宮に響くとか疼く」みたいなものの逆で息子が反応する感じ。前立腺が疼くって表現があってるかも。強制的に勃起させられる感覚。はあ〜、たまんない。理想的な女声だと思う。甘ったるくて耳の奥の方にずっと残ってる。頭の中がかおるの声で満たされて、掻き混ぜられて、ぐるぐる。ダメだこうやってどっかに吐き出さないと、永遠と繰り返してしまう。頭ん中でリピート再生してる。それでかおるの歌は感情表現が豊か。喘ぎ声が一級品だし、語尾でする泣きのビブラート。それから、幼い声から大人のお姉さんみたいなものまで。俺は、かおるのビッチみたいな声が1番好きだな。それに男声も、なかなかだと思う。かおるの男声はかっこいい。でもなあ、暖かい響きが少ないんだよなあ。暗いし。低音だから、胸に響きを持ってくるんだけどさ、それで口角上げたり、上向いて歌うように意識すれば温かくてどこか包み込まれるような感じになれるんだけどなあ。本当、かおるの声が好きすぎて辛い。今までいろんな歌、声、聞いてきたけど、全部、かおるで上書きされちゃった。苦しい。催眠音声にどっぷり浸かった人が欲しがる声してるんだって。耳が犯される感覚。ヒプノレイプガール。綺麗な歌声って万人受けするんだよ。それって大抵、裏声色が優勢でさ。オペラとか、クラシックみたいな。癖のある声は好き嫌い分かれる。かおるの歌声は、他の女を嫉妬に狂わせる、男を虜にする。いや、男女関係なくかもしれない。歌が上手い人って、極端に素直で馬鹿で子供みたいなのと、すべて計算です、みたいなずる賢い、頭のがよくて性格悪いなって思われるのに分かれる。かおるはどっちなんだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

タイトルなんてねえよ 伊勢州 静 @iesuzsus

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る