評議会委員和布刈局長



「お疲れ様です」

「和布刈局長」

「こちらが報告書です」


「随分遅かったんじゃないの?」

「五日も待たせちゃって」

「まあ別に良いけどさ」

「それよりも」

「贄波くんはどうだった?」


「はい」

「私の部下が未だに監視しております」

「見ている限りでは行動を起こしてはないです」


「そっか」

「じゃあ明日にでも撤収しちゃって」

「もう少し士柄武物」

「搾り取れると思ったんだけどねぇ」


「色々な対策をしていたらしいので」

「罰則金もかなり抑えられてしまいました」


「まあ、そうくるよねー……」

「あ、いいよ、もう下がって」

「休暇でもあげようか?」


「いえ、御心配には及びません」

「けれど」

「少しだけ残念ですね」


「残念?」


「はい」

「贄波家を断絶すると思ってましたので」

「そうすれば……」

「必然的に贄波阿羅元隊長と」

「争う口実が出来たのですが……」


「あぁ、キミは贄波阿羅フリークスだったけか」

「それは残念だったねぇ」

「まあ、何れ機会はあるさ……」

「………」


「それでは、失礼しま」


「待ちなさい」


「……はい?」


「この負傷者の項目」

「何故、彼女が入っているのかな?」


「え?」


「………そうかそうか」

「贄波くん、煩わしい虫かと思ったが……」

「血を吸う様な蚊だったってワケか」


「えっと……和布刈局長?」


「さて、平平くん」

「ボクは贄波家を潰そうと思うよ」

「彼女を傷つけた彼女たちを」

「赦す事は出来ないからね」

「一応は大義名分からだ」

「予定通り撤収させて」

「彼女の孫娘である贄波璃々が死亡した時点で」

「贄波陽枝を粛清する」

「良いね?」


「つまり……贄波家の」

「贄波阿羅元隊長も同じように?」

「……ふふ、了解しました」

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