そして最後の訓練

 

「それで八峡くん」

「キミは彼女を救う為に鍛えるのかい?」


「まあ、結果的にはそうなる感じすね」

「………でもその結末は」

「お嬢は望まないと思いますけど」


「……そう、か」

「………正直に言おう」

「〈残像〉を覚えたての君では」

「一週間程度で更なる境地に至る事は難しい」

「〈残像〉の更に先」

「質量を持った〈分身〉を扱うのは」


「……どうしても」

「無理っすか?」


「……難しい」

「けれど」

「死を覚悟した」

「本気の争いであれば」

「……もしかしたら、だ」


「……照さん?」

「髪なんて解いて……」

「……マジなんすか?」


「こうでもしないと」

「キミは成長しないだろう」

「一週間」

「私との殺し合いだ」

「命を落とす気で習得しなければ」

「キミは新たな段階へは進めない」


「上等っすわ」

「これで死ぬ様なら」

「俺は其処までの人間」

「そういうワケっすよね」

「やりますよ」

「命掛けて」

「誰の為じゃない」

「俺の為に」

「今此処で」

「成長してやりますよッ」


「よく言った」

「それでこそ」

「鍛え甲斐がある……」

「それじゃあ」

「行くよ?」


「ウッシャァ!!」

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