頭が回るお婆ちゃん


「何故、ここに」


「あー私」

「少しだけの間」

「この学校を拠点にしてるんですよー」

「………それで、ですが」

「先程のお話、本当ですかぁ?」


「………さてはて」

(今、この場を支配しているのはワシだ)

(下手な事を言って均衡を崩されるのは不味い)

(最悪、精鋭部隊に潰される可能性がある)

(ここはひとつ、論点をズラす他無いさね)

「本当の事さ」

「詳しい話は聞くんだろう?」

「なら、此処は一旦止めにしようか」

「人を殺した奴も居る事だしねぇ」


「ッあ?」

「そりゃ俺ん事か?」


「あー、八峡くーん」

「また貴方ですかー?」

「また懲罰行きですよー、これ」


「は?俺は正当防衛だっつぅの」

「つか見ろよ、この腕ェ!」

「先に仕掛けたのはアイツらごぶぎゃばァッ」


「………喧しい声だ」

「コイツは人を殺した」

「一先ずは保留として」

「捕らえた方が賢明だろう」


「きゃーっ!贄波せんせーっ!」

「お久ぶりですーっ!」

「あ、どうぞこれ、賄賂でーす」


「要らん」


「あう、私の連絡先ぃー!」


(良い補助さね阿羅)

「ワシも後で事情聴取をされよう」

「さてはて、詳しい話はワシの家へ」

「贄波家の宗家にて、詳しいお話をしようか」


「あ、はいはい」

「そうですねー」


(精鋭部隊ならば)

(下手に手を出す事もあるまい)

(なに、所詮は中世派の連中)

(賄賂を握らせれば事は全て霧隠れる)


「あー、そうですねー」

「それじゃあ、お話でもしましょうかー」


「おい金杖」

「そのメイドも連れて行け」


「――――ッ―――」


「ぐ、ふっ………な、何故……わ、たし……の」


「おや、それを付けられても」

「まだ元気で居られるのかい?」

「白純神社特製の封印呪文彫刻された首輪」

「被虐主義のお前には良い代物だろうて」


「ッ、くッ………」

「お嬢様……ッ」


「さあ戻ろうか、我らの宗家へ」

「来るが良いさね、璃々や」

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