違和感を感じるね


「……ん、ふ……ぅ」

「はぁ………」


「お疲れ様です、お嬢様」

「どうぞ、媚薬入りです」


「媚薬無しを頂戴な」


「どうぞ」


「ありがと……ん、く……ふっ」

「はぁ……全然ダメ」

「私、術式が使えないと」

「これ程に弱いのね……」


「無理も御座いません」

「屍子流傀儡術式は」

「禍憑を実体化させる神胤だけあれば」

「後は禍憑から発生する呪いを神胤に変換させて」

「半永久機関を作るもの」

「この術式のメリットは」

「少ない神胤でも禍憑を実体化出来れば」

「運用が可能と言う所ですから」


「えぇ」

「逆に言えば」

「私の様に神胤の総量が少ない私は」

「一瞬で干乾びてしまうわ」

「士柄武物と術符を合わせた」

「能力でも作ってやろうかと思ったけれど……」

「人型なんて到底無理」

「精々、紐みたいな神胤の生物を作るので精一杯だわ」


「………」


「……ん?どうかしたの?」


「いえ……少し」

「術式に対して、違和感を、と」


「……?違和感」

「私の術式が、かしら?」


「はい、よくよく考えてみれば」

「………あれは、人型になれば」

「自慰も捗ると思いまして」


「叩いてあげましょうか?」

「まったく……界守ったら」


「……申し訳ありません」

(いや、違和感は最初からあった)

(けど、実際に能力が上昇していたからこそ)

(そういうモノであると無理矢理理解していた)

(………どう考えても、この術式は成立しない)

(ならば……禍憑が、特殊?)

(………考えても、分からない)

(術式をお嬢様に……)

(……いや、お嬢様が嘘を吐く筈はない)

(何よりも、主に術を放つなどあり得ない)

(忘れましょう)

(少なくとも、術式が使えなくなった今)

(意味の無い考えなのだから)

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