職員室へ行こう



「……どうしたのかしら?」

「職員室、間近だと言うのに」


「あ?あぁ」

「俺は職員室に入る時は」

「必ず願掛けするんだよ」


「?なんの話かしら」


「あ?お前の親父さんと出くわさないか」

「お祈りしてんだよ」

「出会ったら最後殺されちまうからな」


「………何の話かしら?」


「あ?お前の親父さん」


「私に父なんて居ないわ」


「あ?」


「私の父は既に存在しないの」


「いやいや」

「あんな珍しい苗字」

「他にも居ないだろ」


「知らないわ」

「あんな人」

「父だんて思った事すらない」

「本当よ」

「私」

「嘘なんて吐いた事ないもの」


「…………あー、なんつぅか」

「複雑な事情って奴か」

「まあ別に」

「深く聞く気も無いけどよ」

「まあ、俺にとっちゃどうでも良い事だし?」

「それよりも……」

「中にあのオッサン居ないか確認して来んね?」


「………はぁ」

「失礼します」

「………八峡」

「職員室には居ないわ」


「マジ?よっしゃ」

「そんじゃ入るか」

「ちわーっす」


「ん~ふ~ん~ふ~ん~」

「あ、八峡さんに」

「んくっ……ぷふぅ」

「贄波さん」

「こんにちわ~」


「また昼間から飲んでら」


「どうしようも無い人ね」



「うふふ~」

「二人とも」

「仲良しなんですね~」



「仲良しとか」

「そんなの……」


「すんません」

「俺でも斃せそうな」

「楽な仕事あります?」


「お仕事ですか~?」

「ありますよ~」

「これとか、どうでしょうか~」


「……え、それ、」

「先生、それはッ」


「じゃあそれ」

「俺、受けますんで」


「ちょっと貴方ッ」

「何を二つ返事でッ」


「はいは~い」


「それでは~」

「今回のお仕事」

「八峡くんと」

「贄波さん」

「二人で行って貰いますね~」


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