第3話 王女の行方
「ずいぶんと上品に食べるんだね」
「意識したことはありませんでしたけど、そうなのでしょうか?」
「なんというか、まるで貴族と食べているかのようだよ」
「貴族との食事経験が?」
「何度かね。あぁ、そう言えばつい先月ウワサスキー子爵から聞いた噂話だけど、半年ほど前から第一王女が行方をくらましたらしい」
私のいる国ハイルド王国の第一王女。
それがエリーゼ=フォン=ハイルドだ。
「行方をくらませた。つまりは人攫いなどではなく、王女自らの意思で出ていた?」
「あくまで聞いた話だとね。君はどう思う?」
「どうとは?」
「王女が行方をくらませた理由だよ」
「セシリアさんはどうお考えですか?」
「例えばだ。王女には婚約者がいた」
「王女ですからね」
「しかし、王女には婚約者の他に好きな男がいてその男とかけおちしたというのは?」
「安っぽいですね。そんな理由じゃないと思いますよ。もっと単純に……そう、自由になりたいとか?」
私はステーキの最後の一切れを食べ終えた。
「ではお先に失礼します」
「悪いね。話に付き合わせてしまって」
「いえ、おかげさまでSランクハンターとお近づきになれましたので」
「正直だね」
「それが私の長所ですから」
「今度、仕事をやる時はぜひ一緒に」
「楽しみにしています」
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