聖騎士デュソーの旅(6)
以前の旅でロアードラゴンには何度か
デュソーは右手持ちの剣に意識を集中させて白色の闘気を
「ギュワアアアアア!!!!」
戦いに慣れていない常人なら、この鳴き声だけで気絶してしまう絶叫をデュソーは
少しずつ弱らせているが致命的なダメージを与えるには心臓を貫くか、太い首を落とさなければ難しい。しかし、研ぎ澄まされていく感覚と反比例するように激しい疲労感がデュソーに危機感をつのらせる。次に仕留めなければ・・・デュソーは右手の剣を構えながら手甲をはめた左手に闘気を込めた。そして今度はデュソーから突っ込んでいく。
「うおおおおおお!!1」
「グアアアアア!!!!」
ドラゴンの鋭い爪を右手の剣でいなしながら、懐に飛び込んで闘気を帯びた左の手甲をドラゴンの右胸に突き刺す。ロアードラゴンの心臓が右側にあると教えてくれたのは、今は亡きソーサーだった。鳴き竜がその場にバタッと倒れると巨体は
振り返るとそこには不敵な笑みを浮かべた悪魔が地面から少し体を浮かせて直立していた。
「お前は・・・」と思わず声を発したデュソーだが、すぐに意識を切り替えて集中を高めた。そうしなければ危険な相手だと知っているからだ。
「騎士よ、久しぶりだな。
その悪魔は笑みを浮かべた口を動かすことなく、デュソーの頭の中に語りかけてきた。
ガロンだったか・・・グレンガというデーモンロードの第一の部下であり、暗黒の槍を操る武力はグレンガをしのぐ。今はその槍を
「騎士よ、お前はここで何をしている」
「知ったことか」
デュソーはすでに体力的な限界に近付いていた。闘気は魔法ではない。体内の魔素ではなく体力と気力を集中させることで起こすものであり、自分の身を削るのと引き換えにパワーを増強したり、普通の武器では不可能な攻撃もできる。若い時のデュソーは極限まで心身を鍛え上げることで、闘気の最大値と持続力をおそらく大陸で1、2を争うレベルに達していたが・・・
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