第13話 魔王再臨の確信
ミラと行動を共にしてから、断片的な記憶のフラッシュバックこそあるものの、魔王の意思に
「カノン、お待たせてしまいました。もう大丈夫です」
すっかり顔色の良くなったミラが語りかけた。
「立てるか?」
「はい、ばっちり!」
次にやるべきはゴブリンの
人間が死んだまま放っておかれると、アンデッド化してしまうことがあるというのは、この世界の常識である。しかし、ゴブリンのようなモンスターの類も、
「あの、
「ああ、そうだな。それなら
「怪物であっても除霊をすることで、肉体を土へと
「ならそれでいこう」
回復したばかりのミラに無理をさせたくはなかったが、最優先するべきは日が
「(そもそも、魔王が
カノンは、人間の良識には決して染まらないと固く
シャインが成り代わっている魔王のもとへたどり着くまでの仮初の振る舞いに過ぎないと、彼は自身に言い聞かせる。絶対に
カノンは三体の
彼女は胸の前で両手を組みながら、聖語と呼ばれる古代語をいくつか
「神のもとへと魂が
最後に両手を大きく広げながら、ミラは高らかに言い放つ。
すると、ゴブリンたちの体から白い
地面にはボロ切れのような衣服と彼らが使用していた武器が残されるのみだった。さすがにこれらは放っておいても問題ないだろう。
立ち去ろうとしたカノンの視界の端に、キラリと光るものが目に入る。それはゴブリンの衣服の間から
カノンは足で布を
「わぁ、
「ミラが預かっておいてくれ。もしかしたら、路銀の足しくらいにはなるかもしれないし、お前の除霊によって見つかったものだからな。初仕事の
「ふふっ、ありがとうございます」
ミラはツンとそっぽを向くカノンの横顔に笑いかけると、両手でそれを受け取った。不潔なゴブリンが所持していたものだし、ちゃんと拭いて渡すべきだったかとカノンは少し後悔した。
その後、森を抜けるまでに二度の戦闘があった。
まずはコボルト四体の群れだ。この戦いは危なげなく勝利を収めることができた。
しかし、四体を全て倒すまでに十五振りを要したことは反省すべき点だろう。デュソーならば、この程度の人型モンスターは一体につき一撃で
ゴブリンとの戦闘を経て、彼女のポジショニングは
また、長い間デュソーとの
パーティーは勇者シャインの時と同様に少数での編成となるだろう。もちろん、彼女の主な役割が周囲の補助・回復であることは変わりないが、何かしらの攻撃手段を身に付けさせるのもアリかもしれない。
次の相手は、ホスの森にはいないと聞かされていたはずの
ハードレザーによって牙の勢いは多少殺されたようだったが、それでも
カノンは肩の痛みに耐えながら大刀を振り下ろすも、一刀では巨大な
しかし、突然目を潰され混乱する
カノンはミラの
勇者側がそうであるように、魔王側の時間も刻々と進んでいるのだ。
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