第12話 聖衣の加護
暗くならないうちにホスの森を抜けるため、カノンとミラは足を速めた。
「グビャアアア!!!」
聞き慣れない声が一帯に
彼らは汚らしく
「ミラ!」
「はい!」
ミラはカノンの斜め後ろに立ちながら、神官のロッドを
カノンは、ミラが自らの大刀の軌道にいないことを確認すると、太い
「神の
ミラが呪文を
カノンは大刀を両の手で握り直し、集中を高める。目標は今まさに
一人と一体が
彼はゴブリンが振りかざした短剣が自らに届く前に、素早く
カノンはデュソーから教わったことがある。人間あるいは人型のモンスターというのは、一発で首を飛ばすのが理想だが、相手も最大の
今回は確実な手応えがあった。その証拠にゴブリンの体は首から斜めに切り裂かれ、その場に転がっている。残るは二体だ。
カノンが一体目を斬り伏せている間に、ミラから最も近い位置ににいたゴブリンが刃こぼれだらけの長剣で彼女に斬りかかった。
しかし、ミラはロッドでの
「ファイアフォース!!」
左手を大刀から離し、突き出しながら呪文を叫ぶ。掌ほどの大きさの火の玉は、見事ゴブリンに命中した。狙い通りだ。
今のカノンに
「グガガガッ・・・」
ゴブリンは
火が効いているうちに二体目を仕留めてもよかったが、カノンは背後から様子を
カノンは身を
敵は
ゴブリンは
反転して残るゴブリンの方へ戻ると、ミラが刃の一撃を食らっているところだった。体重の軽い彼女は簡単に吹っ飛ばされてしまう。
聖衣がキイーンと反響して、本来ならば主人に与えられるはずだったダメージを引き受ける。たしかにその反応は魔王ゲラの記憶で見たものと同じだった。
ミラが後ろに飛ばされたことで、彼女とゴブリンとの間に距離ができている。カノンは
ゴブリンは攻撃対象をカノンに切り替えて斬りかかってきたが、聖騎士デュソーの
「ケッ、くらいやがれ!」
相手の威力を利用した
驚いたことに、決着が付いてまず感じたのは勝利の
「(魔王が他人の心配なんて、まったくどうかしてるぜ・・・)」
カノンも頭では分かっている。しかし、身体はミラのもとへと駆け寄っていた。右手を差し出し、引っ張り起こしてやる。
「あ、ありがとうございます」
「怪我はないな? 痛みは?」
「だ、大丈夫です。やっぱり・・・すごいですね、この聖衣。まともに斬られたはずなのに」
ミラは体を震わせながらも無理やり笑顔を作ってみせた。たしかに目に見える
「聖魔法は自分の回復もできるのか?」
「はい。ただ、集中力が要りますから。少し休めるとありがたいです」
カノンはカバンから水筒を取り出してミラに差し出した。
彼女は申し訳なさそうにそれを受け取ると、ゴクゴクと流し込む。上品にハッピーハーブティーを飲んでいた者と同一人物には見えなかったが、それだけ緊張感で
「ふぅ。助かりました〜」
「ああ」
カノンは返された水筒の軽さに水不足の危険を感じた。思っていたよりも消費が早い。
しかし、この森の中で
「(そういや、今回の戦闘では魔王に乗っ取られなかったな・・・。コイツがいることで何かが違ったのかも)」
カノンは、自らに回復の聖魔法をかけている聖女ミラを
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