第3話 ミラの瞳
神聖国家アストラールの聖都シャイロンから東に二十ハイルほどの
日頃から神官や聖騎士の
カノンの持つ能力を
聖剣が眠る
「それじゃあ、あとは頑張ってくれ」
「え?」と困惑の表情を浮かべるカノン。ダンジョンこねーのかよ。
「私には至急やるべきことがあるのでな。お前が勇者として認められた後のための大切な準備だ」
実は聖王との
一つ目、今回の試練においてカノンを助けないこと。
二つ目、十七年前と同じく、勇者パーティーの一員として戦いに臨むこと。
三つ目、カノンたちがダンジョンに挑んでいる間に頼れる仲間を探してくること。
カノンの前では平静を装っているが、今の自分に勇者の
事実、シャイロンへの道中で
「(一人の男としても、だな・・・)」
しかし、聖王ラウマの
「そうだ、カノン」
立ち去りかけたデュソーだったが、一転して
「ダンジョンを
「お、どこのどいつだ?」
「大魔術師ソーサーの弟子の一人で、名前はガルフという」
カノンは興味津々だ。魔術師にはこれまで関わったことがなかったから、好奇心を駆り立てられたのだろう。
「私の友人でもあったソーサーが最も実力を認めていた者だ。当時まだ年端も行かぬ少年だったにも関わらず。ただ・・・」
「ただ?」
「かなりの変わり者で、幼少にしてソーサーも手が付けられないほどの
「へぇ」
言葉こそ短く素っ気なかったが、カノンの声は明らかに弾んでいた。
「(ひねくれ者の魔術師か。馬が合いそうだ。使えそうな奴なら身体を取り戻した後も配下にしといてやるか)」
「あの〜、何か面白いことでも?」
カノンの思考を
深く探っているような、全く何も考えていないような、どちらともつかない
「(シーナか・・・)」
カノンはランスの村で幼少期に
「いや、何でも・・・」
やや引き気味になりながら、わざとおらしく首を横に振るカノン。
ミラは
「やっぱり面白いことが浮かんだのですね? ぜひ教えて欲しいです! ぜひ!」
デュソーはそんな二人の様子に、あの野盗の
「(この聖女ならば、カノンを真の勇者へと導けるやもしれぬな)」
若い二人はなおも押し
「それでは、私は先を急ぐぞ。カノン、ミラ殿、いずれまた」
晴れやかな気分で、今度こそデュソーはその場を後にした。
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