第2話 聖王ラウマ
カノンは、聖王ラウマに関するいくつかの知識を聖騎士のデュソーから聞かされていた。
約千年も続く神聖国家アストラールの第二十五代聖王にあたる彼は、清貧を
初代聖王である聖クランスールは、終生妻を
聖王に定年は無いが、
聖クランスールが己の信念に基づいて生涯独身を貫いたというだけで、聖王に家庭を作ることが禁止されているわけではない。
事実、ラウマにもマリエルという名の
事前に得た情報を頭の中で整理しつつ、カノンは聖王ラウマの前へと進み出る。
「そなたが勇者の証を持つカノンだな」
「はい」
彼は白い聖衣を
「(これが我が最大の敵となる聖王か・・・)」
肩まで真っ直ぐに伸びた金髪が
人間の”
「カノンよ、勇者の証を持つ者はこの世界に一人しか存在しない。これ、すなわち運命である。受け入れる覚悟はあるか?」
「はい」
カノンは自分でも
アストラールに入ってからの道中で出会った聖騎士たち、誇り高き彼らでさえもデュソーに向けるものとは全く異なる目でカノンを見ていた。今この場にいる神官たちも例外ではない。
聖王ラウマの視線は
聖王ラウマがカノンのそばへゆっくりと歩み寄り、その額へと手をかざす。すると、それに
彼らを取り囲むように姿勢を正して並ぶ神官たちからも、一瞬だけ
「
ラウマは優しく
次に神官長マインがクエストの説明を行う。何やら太い巻物を読み始めたので、しばらくはこのまま話を聞くことになりそうだ。すでに気疲れしていたカノンは、内心でひどくうんざりしていた。
「
結局、マインは
「(チッ、必要だったの最後のひとことだけじゃねーか)」
カノンは心の中で毒づいたが、マインと目が合ってしまったためにその
聖なる力に満ちた大聖殿、最高の
しかし、話はこれで終わらない。
「聖女ミラよ、これへ」
マインは、神官の輪に混じっていた女性に呼び掛けた。
「はい」と答えて進み出た女性は、
「ミラと申します」
その姿を見た瞬間、魔王センサーが危険信号を発するとともに、別の何かが
聖の力に触れた勇者の印が
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