カノン成長編10 命の重み
魔王としての感情が強く動くと、カノンの
今回は、デーモンごときの"手先"扱いされたことが気に食わず、魔王の部分が顔を出したというわけだ。
頭痛が収まって冷静になったカノンは、もしや今の行動も怪しまれたのではないかと思い、パンネルの顔色をちらりと
「ま、僕に不利益が出ないなら、僕自身はカノン様が何者だろうと構わないんですけどねっ」
そして、話は変わりますが、と続ける。
「殺しちゃった人たち、ちゃんと
「は? 他人事みたいに言ってんじゃねーぞ? アンタだってしっかり殺してただろうが」
「僕が倒した二人は死んじゃいませんよ? 気絶させただけですからぁ」
驚きで切れ長の目を丸くするカノン。
「僕の矢は相手を気絶させる
カノンの目が泳ぐ。いや、デュソーも真っ二つにしてたし、
「もちろん、ラミア伯に突き出すことにはなるので、取り調べの後に彼らがどういう処分を下されるかは僕の知ったこっちゃないですよぉ? でも殺しちゃった人に関しては、いくら悪党でもアンデッド化されるのは厄介ですから
「分かった。やっておく」
カノンは素直に答えた。
魔王にとってはアンデッドも単なる”道具”に過ぎないが、勇者を
「あとは、あのデカい奴をどうするかなぁ。まだ息はあるみたいだけど、カノン様が
パンネルの命令とも取れる
男は短く
魔王として君臨していた頃は、大した理由もなく、数多の生き物から命を奪ってきた。先ほどの戦いで感じた血の
しかし、
こうした間にも、デュソーは取り乱した様子でルーアの
カノンとパンネルは、それぞれ気絶していた二人の野盗を
「じゃ、僕はそろそろ行きまーす。死んだ野盗の
パンネルの顔がぐっと近づいてくる。背伸びをしたようだ。
「出世払い、忘れないでくださいねっ」
ほんの少し前にも見た
すると、間もなく大きな鳥が地面に降り立った。ロック鳥だ。急な天敵の登場に、馬車に
「コイツはクリム。馬は
パンネルは
先ほど
「それじゃ、また生きてお会いできることを祈ってまーすっ!」
一人と一羽は大空へと飛び立つ。彼らの姿はあっという間に見えなくなった。
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