カノン成長編8 野党の襲撃
コルージャを発って二日目の夜、アストラールとの国境に差し掛かるところで
聖騎士デュソーがカノンとルーアに、
「(早く手当てをしなければ)」
傷は深くなさそうだが、毒が塗られている可能性もある。
しかし、見えざる敵がそんな時間を与えてくれるはずもなかった。
デュソーは自らを目掛けて飛んできた矢を、上体を
その間にもどこからか現れた四人の男が馬車を取り囲む。
すると、
悪童として有名だったカノンも、人を殺めたのは初めてである。しかし、魔王であった頃の感覚が残っているのか、不思議と恐怖は感じなかった。それどころか、血が
所持している剣はデュソーとの実戦を想定した
残る三人は
その瞬間だった。
「あっ!!」
「不覚ッ・・・」
デュソーの
残る二人がいつかかってきても対応できる角度をはかりながら、カノンは剣を構え直した。
初の実戦を前に、カノンは自分でも驚くほど
さらにデュソーを撃ったと見られる男が弓を
「ククッ、そうこなくっちゃなぁ?」
カノン本音とも強がりとも取れる言葉を発し、改めて敵を観察する時間を
デュソーを撃ったのは『小』、小柄だからと
目標を定めたカノンは、瞬時に間合いを詰めて『大』に斬りかかる。
一度は大きめの
さすがに一撃で仕留めることはできなかったが、もう使い物にならないはずだ。
「(あとの二人にも対応しねーと)」
そう警戒を改めたところで、
「ちっ」
カノンは状況を
カノンを囲む
「おい赤髪」
マントの男が、ルーアを羽交い
「大人しく剣を置いて両手を頭の後ろに組みな。さもなければ、この姉ちゃんの命は保証しねえ」
これまでどんな時も優しく接してきてくれたルーアとの思い出が
カノンの真紅の目と額の印が同時に光を放つ。
マントの男はカノンの選択に驚き、目を見開く。
「畜生がぁっ!!」
男がルーアを掴む腕に力を込め、白い
ーーヒュンッ
細い石の矢が男の首元に突き刺さる。マントの男はその場にドサっと倒れ、
続いてもう一本。先ほどと同じ矢が、今度は仲間の
「あーあ、これから勇者になろうってお方が、とんだ人でなしだなあ」
「あん?」
カノンは、言葉とは
小柄な少年がにんまりと笑いながらこちらを見つめていた。
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