カノン成長編5 ルーアとチェリーパイ
ランスは村の
そんな風土的背景もあって、十五年に渡る勇者の育成場所としてはなかなかに
カノンが生まれ育った地を出発した馬車は、千カイルの道のりを進み始める。
途中、街道の
ここまでの道中は
「
「もう、カノンちゃんったら」
早くも狭い
チェリーパイは移動を始めて
「ルーアの分ももらうよ」
そう言って袋に手を突っ込もうとしたが、お見通しだったルーアにパシッと手の甲を弾かれた。
「カノンちゃん、いけません。これは私の分です。・・・ふふっ。こんなこともあろうかと、私もカノンちゃんのためにチェリーパイを焼いておいたんですよ〜」
そう言ってルーアは自分の
確かにルーアのチェリーパイは美味かった。本人に直接言ったことはないが、カノンの
「紅茶もありますからね。
「いただきます」
カノンは
ルーアと話していると、シーナとはまた違った意味で調子が狂う。特別な美人というわけではなくとも、
そんな
魔王の記憶が
止めに入ったデュソーは、その後カノンを倉庫で
代わりに、カノンを
それにしても、デュソーとルーアは七年間も
いや、カノンの目が届かないところでどう
一度だけルーアがデュソーのプライベートについて教えてくれたことがあった。
意外にも、彼はお酒にめっぽう弱いらしい。少しでも酒を飲むと
驚いたし爆笑もしたが、カノン的には正直どうでもいい。勝手に嫌われててくれ。
長い期間をともに過ごしたルーアも、アストラールに戻ればお役
一年に二度の
彼女がこの後どうするつもりか聞いてみたいという好奇心が首をもたげたが、意地っ張りのカノンは言い出すタイミングを見失ってしまった。
「・・・世話になったな」
カノンは思わず口に出してしまい、顔を赤らめた。まさか自分が
ルーアはカノンの言葉に
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