健全な熱量

 いま新作の原稿を書いている。

 朝の6時に起きて机に向かい、よる家に帰ってから寝るまでペンを動かす。正直、趣味にしちゃストイック(僕の中では)すぎると思うし、かといってプロでもない僕がここまでする必要もないと思う。ただ、こうでもしないと原稿は終わらない。終わらないというか、もはや脅迫観念のようなものが僕を動かす。

 この衝動を「熱意」だとか「やる気」だとかと言うつもりは全くなく、であればこの衝動は「書かなきゃ」という脅迫観念である。むろん「書かなきゃ」という気持ち100%ってわけではなく、書いてるときは「俺、天才だなぁ」とか「俺、天才だなぁ」とか「俺、天才だなぁ」などと思っている。『コイツ調子に乗ってんな』と思う人もいるかと思うが、このあたりは本気で許してほしい。正直、自惚れMAXの状態でないと、僕はラノベが書けない。

 思うにラノベ(小説)は正気の状態で書くもんじゃない。ある程度、正気を失った状態でないと書けない。『じゃあ小説書いている人は皆んな狂っているのか

』と言えば違う話で、元から狂っている人もいれば、小説を書き始めたから狂った人もいる。そして僕のように自分を守るために、わざと狂ったふりをする人だっている。狂人のふりをした凡人。それが私である。

 それはいいとして、僕は原稿を書くのが遅い。そうなると長丁場の作業になってくる。世の中には2〜3週間ほどでラノベ一冊分を書き上げる人間がいるらしいが、信じられない。同時に毎週更新している作者とか、さらには毎日更新している作者もいるらしいので、そこまでいくと信じられないというか信じたくない。

 話が逸れた。とにかく僕は原稿を書くのが遅いので、普通にプロット立を立ててから初稿、二稿、三稿そして決定稿に至るまで余裕で数ヶ月かかる。なのでその期間はずっと原稿のことが頭の片隅にある。ゲームをしようが、映画を見ようが、遊んでようが頭から綺麗さっぱり消えることはない。自然と思考が「あの展開はどうしようかしら」と動きがちになったりする。僕はそれは「思考の暴走」と呼んでいるが、暴走するだけ暴走して頭を疲れさせるだけなので、正直いらない機能でもある。ただ裏を返せば、常々作品を意識して、ある程度の熱量を保っている証拠とも言える。

 

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