空を見ない

トンビが飛んでいる

ピィイイィ

鳴いている

見上げない

丁度、太陽がある場所なのだ

眩しくて仕方がない


ねえ、いつまで前を向いているのか

あなたはどこへ行ってしまったのか

もう空を忘れたよう

ここは別世界のよう


私はあなたを忘れてしまったんだろう

あの空を置いてきたんだろう


でも、鳴いているんだ

空の鳥たちが


しろっちゃけた あの空

水色のような あの空

沈む夕焼けは綺麗だって

登る太陽は素敵だって

何度も見せてもらったよ


それが なんだってんだ

マスクと帽子の間ので見る

二対の目


空に私が飛んでいる

アァアアアァアア

鳴いている

誰も見上げてくれない

どんどん太陽が近づいていく

焼けて焼けて死んでしまう

ピュロオロロロ

大きな爪が私の背を掴み上げた

もっとさけんでやろうと

あーあーあーやーやーやー

空中で叫ぶって大変だ

四方八歩から風に殴られる


ああ、電車ですね。乗りますデショ?

鳩サブレーどうぞどうぞ


トンビに睨みつけられて

無事にJR鎌倉駅に来られたわけです

「よこはませーん」

「江ノ電はこちら~」


頭がくしゃくしゃなのがイヤだったから

帽子被ったのに、つばは太陽を遮断しない


髪をととのえて

帽子をかぶるとき、後頭部から前に下ろす

そこで見たのは見てしまったのは

空だった


私が綺麗と思う空

なんとでも言う空

キレイキレイという空


あなたたちは違う色で

心を殺してくるんだ

隣の人の心が

……焼けきって

お な じ そ ら じゃ な い こ と


気づくだろ

空よりも あなたを みていたんだから

太陽 海 青 白 橙

か ぞ え き れ な い


あなたが幸せならば

あなたが幸せでいるなら

満足が出来るだろう

笑っているのだろう

この先、苦しいことがあっても

醜い私を参考にして

良い人を見つけてね

大好きだからね


――大好きだから


もうつまんないから――

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