第6話 勇者は王女を見捨てられなかった
「まず、スティさん。あんたも、殺されかけた王女様を守って、逃げて来たということらしいが。」
弓を背負った小柄な栗色の髪のキァが、
「私から説明します。西方のフライパ王国の第二王女です、…でした。そちらのターミアさんと似たような事情でした。」
彼女の話だした説明では、少し事情は違った。第二王女ではあったが、第一王女の異母姉である。身分的には自分の母親の方が高かったが、寵愛の強さと彼女の母親が早くに亡くなったことから、第二王女になった。彼女はまだ小さかったので、はっきりしたことは判らないが、当初は第一王女だったのが、母親の死後に第二王女となったという話を聴いていた。そんな事情もあって、自分が、自分がという言動が強くでていた。
「確かにやり過ぎだったかもしれません。でも、自分の立場を守るためにも、さらに命を守るため、やむを得ない、正当防衛の面もあったのです。それに、私の側の人々のため、その求めに、利益ん図ることもあったのです。臣下や領民、国民のための行動も出来るだけしたつもりです。」
「分かりますわ!」
ターミアだった。
だから、文武も熱心に学び、魔王討伐への勇者の旅に同行を、自ら志願して、したのである。魔王を倒した後のこともかなり似ているが、彼女の場合は、勇者も共に暗殺の対象になっていた。
「私の側と判断されたのでしょう。」
「勇者だったせいか、簡単には死ななくてね。」
彼女が凌辱されている最中に復活して、彼女を救ったのである。
「実は、その前に誘われたんだが、断っていたんだ。」
「それで、自分が暗殺されることに気がつかなかったというのは、あまりにうっかり屋さんではないかい?」
カーユが疑わしそうな視線を向けた。
「そのとおりさ。彼女の悪評があると言って、その話を俺にしたんだよ。剣聖だったな。自分は信じないし、彼女に忠誠を尽くすたいという風にさ、話してきたのさ。その悪評通りだと、本当に彼女は死んだ方がいい悪女だった。それは事実とは言えたよ。しかし、彼女の立場を考えれば、やむを得ないというところがあり、彼女のことを知っていれば、別の見方ができる、そこに語られていないこともある、それに他人は如何なのか、ということがある。第一王女は人気はあったが、彼女の方が善人だとは思えなくてな。そう言ったら、あいつもそう思うと言ったんだよ。そして、俺は仲間として戦ってきて、それに恩義も受けた、1000歩譲っても、暗殺には加われないだろうとも言った。それは、そこで終わったんだと思ったんだ。これで、俺が第二王女派で、彼女の暗殺に加わることを断ったということになったらしい。俺は、そのことに気がつかなかったんだ。」
「あの女、そんな善人なんかじゃないわよ!」
彼女は吐き捨てるように言った。一度、国に戻ったが、状況が好転しそうにもないことが分かり、そのまま逃げて、結ばれて今に至っているということだった。
「今思うと、暗殺を命じた妹に感謝しているわ。」
「分かりますわ。」
ターミアとキアは、互いにうなずき合った。
「なんか大変なことに巻き込まれそうだけど…。それで、自称屑勇者様は。」
彼は、女3人を連れていた。
“ハーレム野郎ね!”
他の女性陣から、冷たい視線が向けられた。
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