第4話 加入希望者がこんなに?似た事情が。

「リーダー。加入希望者が。」

 シロが困ったように言った。

 部屋からチークが、元気そうに出てきたのに出会ってで、まず嬉しそうな顔をしたのだが。

「すまなかったな。姉さん達から聞いているよ。朝食の席でだろう?今行くところだよ。」

 姉と妹が、彼と両隣で腕を組んでいた。知らない人間から見れば、ハーレム野郎(2人でハーレムとは言うには少ないが)である。“姐さん達、あれから箍が外れた…。兄貴も…。”

 それは、朝食の席で待っていたミカエラもクロも同じだった。困った顔をしていた、3人のこうした姿がエスカレートしてきているのだから、なおさらだった。そのかわり、戦いの時のチームワークは、格段に強まったが。

「リーダー。完全復活かい?」

 カーユが声をかけた。

「ああ、心配をかけたね。ところで、何か随分人が多いが、誰が入会希望者なんだい?」

 笑いながら言うと、カーユは皮肉っぽい笑顔を浮かべて、

「ありがたいことに、ここにいる全員なんだよ。」

「?」

 チークは、さして広くはない、彼らが拠点にしている安宿の食堂を見渡した。そもそも、勇者達を追放する前の16人のメンバーが泊まると、部屋の半ば以上が埋まった、あまり大きな宿ではない。忙しそうに、宿の親子達が走り回っていた、注文の料理を運んで。

「これは…、朝飯を食べるのに時間がかかりそうだな。」

言葉に困ったように、笑った。20人以上いた、パーティー加入希望者は。全員が朝食を終わったのを見計らって、宿の経営者に頼んで面接のために、貸切にしてもらった。

「こちらは、暁の戦士のリーダーのイク殿と妹さんのスージァ殿だよ。」

 カーユは、ベテランのサポーターでなので、希望者の半ば以上を知っていた。このパーティーは、チークも耳にしていたし、仕事で一緒となったことはなかったが、よく見かけてきたし、軽い挨拶程度は何回かしていた。有力な戦士チームであったはずだ。十数人のパーティーだったはずだ。

「他のメンバーはどうしたんですか?かなり精鋭のパーティーだという噂はよく聴いていたが、そのリーダーが、我々、虹に加入したいというのは。」

 姉妹に挟まれて座ったチークはまず尋ねた。イクは、溜息をついた。

「実は、他のメンバーが、サポーターも含めてなんだが、勇者パンの元に行ってしまったんですよ。婚約者も含めてね。」

「全く、あの尻軽女…、お兄様を。」

「こいつの恋人もなんだが。」

「私はあいつなんか…。」

“なんかどっかでみたような、聞いてような。”チーク以下、デジャヴ的な話だった。長身の美形で、見事な黒髪の兄妹は、しっかりと寄り添いあっていた。カーユ、ミカエラ、クロ、シロは、この2人と自分達のリーダーとその姉妹を交互に見て、溜息をついた。

“全く、兄貴達ときたら。”

“あれから、もう露骨になったわね。”

“切れた、という感じ。”

“まあ、チームワークのいい戦いをしてくれているからいいが、そのお陰で。”

 4人は、それぞれの思いを呑み込んだ。“何が言いたいの?”と2人が、4人を睨んだ。

「こちらも、勇者様に元からのメンバーがついて行ってしまって、人手不足のところなんだ。」

「そのようだね。大望を持つのであれば、勇者様と共に行くのがいいだろうね。でも、自分の力量が…。」

「みんな上手くやってくれたらいいのだけど。」

「あんたらの婚約者、元婚約者達が一番危ないな、実力的に。」

 カーユが2人の会話に割って入った。

「プリアのことを知っているのかい?」

 イークが怪訝な表情で尋ねた。

「前の仕事の時、何度も見かけたし、あんたのところにいたサポータからいろいろと聞いていたからね。俺達は、互いに情報も交換しているし、いろいろと知っているんだよ。双手剣使いでもある格闘家だったろう。あんたのパーティーで、特段の実力者ではなかったかはずだ。」

 イークは頷いた。

「リーノの嬢ちゃんだってそうだ。本人は、自分を過大評価していたがね。覚醒でもするか、凄い聖槍、聖剣でも手に入れられたなら別だがね。」

 チークとイークは唸った。

「ざまあみろよね。」

 ボカが嬉しそうに言った。2人も嬉しそうに肯きあった。いつの間にか、3人は、意気投合しているようだった。

「小姑同盟。」

 クロがポツリと言った。ミカエラ、シロ、カーユが、思わず首を縦に振ると、3人が一斉に睨んだので、4人はあらぬ方に顔を向けた。

「カーユのお墨付きもあるから実力などは期待できるから、入会して貰いたい。」

 チークが、皆の方を見ると皆頷いた。この後、報酬は傾斜配分しないと言ったところで、1/3が消えたが、まだかなり残っていた。チーク達は、面接を続けることにした。

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