第157話 船長さま 御食事はご馳走様 

ゆらり、マルタ島から隠れるように小島近く海に浮かぶイスラムのガレー船 

で‥

まるでそれは当たり前のように 並べられたご馳走の数々を召し上がっているのは‥


「本当に遠慮という言葉を知らないな お前たち」

文句を言いながら何だかちょっと嬉しそうなウルグ・アリ

「うふふ 本当に美味しいです」

片目となったがサラはもぐもぐと嬉しそうにそれは美味しそうに食べていた。

「いつも有難うございます」吟遊詩人の姿をしたシオン


「久しぶりに顔を見せたな吟遊詩人の兄の方」

「そうですね お久しぶりですウルグ・アリ様」シオンはにこやかに答える。


「シオンちゃん、ナスとひき肉料理のムサカだよ」

「ああ、ミンチ肉のキョフテもあるね パトゥルジャン・イマム・バユルドゥに

葉で包んだピラフ入りの肉と野菜入りのドルマ」「ムース上のフムスも」

「飲み物はミント・テイにそれから‥」


「胡瓜とヨーグルトをムースにしたジャジュクもあるぞ

スープはレンズ豆の分かチキンチョルバ」

「アラブ料理のマクルーベ 持ってこさせるか 食材を補給したばかりだ」


「酒は‥本来なら俺はイスラム教徒なのだが」

「特別なアッラーのお許しがあったのでしょうねウルグ・アリ様」

シオンが微笑して手は休めずに言う。

「そんな処だ 吟遊詩人、元の生まれなら俺はイタリア人だから」


「きゃあああんウルグアリさま 大好きいい」サラ「僕、幸せです」シオン

酒にほんのり二人とも頬が赤く染まり、ご満悦である。


「サラはなぜ、片方の目が?」ウルグ・アリが問う。

「話は長いです」シオン「そうなのよ 」サラ


「今日はシオンちゃん仕事休みだから美味しいご飯食べに来たの うふっ」サラ

「?」きょとんとするウルグ・アリ


「僕のせいではあるのですけど」シオン

シオン達はそれ以上は何も言わず 

本当に幸せそうにはぐはぐと遠慮なく食べているのであった。


「吟遊詩人、お前は敵情視察か?」何気ないふりをしてウルグ・アリは聞く。

「はい?」シオン 

シオンは綺麗な青い瞳をぱちぱちとさせてそれから優雅に‥

やっぱり食べているのである。


「まあ、俺は後方でか今回の戦いには直接はかかわらないぞ」

「いえ、そうはならないでしょうね ウルグ・アリ様 

‥貴方は無事に生き残られますけど」フランス語で呟くシオン

束の間、魔物の目 金色に輝く眸


「え、今 何を?」


「お菓子は何でしょうか 僕、楽しみです」「あ、私もおおお!バクラヴァとか」



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