第143話 祝いの言葉に

オスマン帝国 ムスタファ皇子の屋敷


ヴェネチアから戻った商人の息子イヴァンが頼まれた品物を共に

訪れようとしている そこに愛しいマリアがいるとも知らずに‥。



そして、屋敷の方では‥

ムスタファ皇子と一人の姫君が会話をしていたのだった。


「まあ、それではマリアさんと御結婚を?」一人の女性、綺麗な姫君らしき女性

「本当におめでとうございます どうかお幸せに」


「有難うシュルーク姫」ムスタファ皇子はそれは嬉しそうに答えた。


「シュルーク姫、貴方の祖母と母親、私たちの乳母のジャスミン達には世話になり

子供の頃から親しい友達だった貴方に祝いの言葉を頂けて、とても嬉しいですよ」

ムスタファ皇子


「今は軍務の雑事もあって多忙ですが 後でマリアと食事を一緒に 

貴方もいかがですか?」


「まあ、有難うございます ムスタファ皇子様」

「じゃあ、先に私はマリアさんにお祝いを‥お土産もありますから うふふ」


其処にいたイエニッチエリの兵士 護衛であるナウファル

彼ナウファルに声をかけるムスタファ皇子

それは耳元の小声で‥


「君は辛いだろう?

彼女シュルーク姫に恋しているのはわかる 私も恋する者だから」


「…いえ、私はこうして傍にいられるだけで幸せなのです

ムスタファ殿下 私と姫は身分が違いすぎます」

「それに私はイエニッチエリの兵士 改宗してこの剣を皇帝陛下に捧げる者です」

ナウファルは答える。


東欧の方面、幼き時にオスマン帝国にデウレシメで徴兵されやって来たナウファル

自らの本当の名も両親に兄弟の顔もすでに忘れて此処にいる。 

叶わぬ恋を抱えて、こうしているイエニッチエリ奴隷の兵士ナウファル



噴水の水音に小鳥のさえずり、花が咲く美しい中庭にある道をゆく途中

シュルーク姫

「あら、そこにいるのは商人の息子さん名前はイヴァンだったわね」

「これはシュルーク姫様 お久しぶりです 

ムスタファ皇子の婚約者の姫さまのための品物を納めにきました」

イヴァンは笑顔でそう答えた。 


「彼女は可愛い人ね」

「あ、あの私はまだムスタファ皇子様の婚約者の姫さまには

 お会いしたことが無いのです」イヴァン


「あら‥まだ会ったことが無いのイヴァン? 

じゃあ、一緒に会いに行きましょうか」シュルーク姫

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