第141話 矢が放たれて 海へと‥

騎士たちに兵士なども加わり、魔物 シオンに襲い掛かる

シオンは彼らを傷つけまいとでも思っているのか 攻撃をかわしても

彼らに襲い掛かりはしなかった。

攻撃が続き、シオンの体は次々と傷つき血を流す。


逃げ場はない ここはガレー船の上


そうして船の縁の上に飛び乗るシオン


「僕は騎士団を創設したアマルフィの商人マルロと

聖なる福者ジェラール様との約束でお前たちを傷つけることが出来ない」

叫ぶように言うシオン


「だが、条件が変われば何時でもお前たちを食い殺す!」


「今はな‥忘れるな 僕は魔物 簡単には殺せないぞ!」

青い瞳が金色に輝き、くぐもった声で笑っている


矢が放たれた

数本の矢がシオンの身体を貫く その刹那 シオンの体が骸骨のようになって

片方はくぼみ、片方だけの青い瞳の眼球がまるで皆を射るように鋭く見ている。


ただ長い射干玉のような黒髪だけがそのままに

激しい海風になびいていたのだった。


束の間の事


シオンの体は血まみれの姿、元通りの少年の姿となって そのまま倒れこむように

青い海へと投げ出された


バシャーン 音を立てて海はシオンの身体を飲み込んだ。


「シオーンン」身体を抑え込まれたヴァレッタ隊長が叫ぶ。



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