第139話 骨の腕‥血を流すシオン

「うたた寝をしてしまったな」ヴァレッタ隊長はそっと呟く

肩には薄い毛布 どうやら部下の騎士か魔物のシオンがかけてくれたらしい


「ふむ」軽くため息をつく

船室を出て、廊下に居た部下の騎士に声をかける。


「聞きたいのだが、グランドマスター、リラダン総長は?」

「まだお目覚めになりませんが顔色が良くなってきました」部下が答えた。


「そうか、それは吉報だ」笑顔になり

リラダン総長の部屋に向かおうとするヴァレッタ隊長だったが

突然、上の甲板から大きな音がした。

ゴオオンン!キイインン!


「誰かが戦っている?剣の音もするぞ 敵の間者か」

慌てて、部下と共に階段を駆け上がるとそこには


切り落とされたもの

それは人間の腕でなく、骨の腕が甲板に転がっている。


魔物のシオンは腕を切り落とされて 唇を噛みしめていた

骨の腕、それはシオンのもの


シオンの腕の付け根

血が絶え間なく零れ落ちて、甲板の床を染め上げているのだった。


「この魔物め、今宵こそ息の根を止めてくれる」

気の荒いスペイン系の騎士、隊長の一人がシオンを睨みつけながら言う


「本来なら火刑にするところだ魔物!」



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