第107話 オスマンの皇帝の座 権力争い 未来の悲劇を謡う魔物の吟遊詩人

「哀れなるか‥壮麗なる帝国の皇子たち」

魔物で吟遊詩人シオン

彼は遠いトプカプ宮殿の権力者たちの未来視をするように

呟くかの如く、小声でリュートをつま弾きながら歌っていた。


「異国の皇帝 その皇帝の座は唯一のみ

脱落した者達は殺されるか、金の鳥かごに閉じ込められて・・」


「皇妃の息子たち‥他の妃が産んだ皇子が一人

「‥哀れなるは皇子たちに その母か? 争いに加わる者たち

敵の皇子を殺しても、ヒュレカム皇妃の息子たちも殺し合う運命に

まだ気がつかない」

「スレイマン大帝は一人だけの皇子だった‥兄弟たちの金の鳥かごは無い」

「大帝の嘆きと影が差す」


それは綺麗な声、笑みには小さな白い牙


オスマン敵国のとある大きな屋敷

「貴方の選んだ少女は とても愛らしく可愛いわ」

「母上」皇子の一人、長子のムスタファ皇子


「安心してね 大宰相イブラヒムは私達を支持してくれるわ 皇帝の座を得られる

・・もし、ヒュレカムや息子たちが邪魔しても 軍もまた貴方が皇帝になる事を望んでるから うふふ」

「‥‥」黙っているムスタファ皇子に


「‥可愛いわ 貴方のマリア 

でも、貴方が私達に逆らうなら 可愛いマリアは冷たい躯かもね」

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