第106話 皇帝の妃と大宰相

オスマン帝国 トプカプ宮殿での会話


中庭の噴水の傍 美しい花が咲き乱れ、水の音がしていた

そこに

「あら、久しぶりですことイブラヒム大宰相さま」「おお、これはヒュレカム皇妃さま」

「先日は薔薇水に美しい絹の織物を感謝しますわ」


「最近はムスタファ皇子と仲が良いようですのね」「はい、跡継ぎの皇子です」

その言葉に一瞬、顔を曇らせる皇妃ヒュレカム

やがて、対立する二人はにこやかに微笑み会話を交わしてゆく


ロクサーナ‥ヒュレカムは

東欧で生まれたというキリスト教徒だった娘 ハーレムの奴隷だった者


今では大帝スレイマンに誰よりも愛されるヒュレカム 攫われた奴隷でありながら

婚姻に奴隷の身分を解かれ、皇帝の正式な妃


多くの子供を皇帝に与えた娘


イブラヒムもまた奴隷として連れて来られたが、選ばれたエリートで

少年の頃から子供だったスレイマン大帝の傍で仕えた腹心 誰より重用された者


イブラヒムがヒュレカムを選び、ハーレムへ

そうして皇帝に手渡したのだった


だが・・今は これからは・・

跡継ぎ争い 権力闘争は既に始まっている。


負ければ命はないから







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