第104話 未来からの呼ぶ声 悪い夢

呼ぶ声がする


そう、戦場の悪夢だ‥。

ロドス島での攻防戦は悪夢の一つかも知れない


ギリシャのエーゲ海 美しき薔薇の島、豊かな島は遠い過去

今はオスマン帝国の支配下


古代の時代よりあった守りに手を加え

200年近くをかけて組上がれらた城塞都市 ロドス

圧倒的な敵の兵士の数、敵船に積まれた豊かな兵站、物資


こちらは失われてゆく仲間たち

仲間の騎士達が次々と戦死に目を覆いたくなる程の傷を負ってゆき

乏しくなる食料に

昼夜を問わぬ砲撃の音に悩まされて‥


近隣の白いリンドスの村は‥


いや、違う あの美しいロドス島ではない

この風景はマルタ島だ‥。

「まだ、救援が来ない 送る気もないのか!」


嫌な臭いのする黒煙 対岸には落ちた城塞


「・・落ちた城塞での惨劇を見よ あれが奴らのやり方だ!」

「砦には掲げられた仲間の首の数々に 海には拷問で殺された者達が流れ着いた

この哀れな躯に我らは涙と祈りを捧げるのみか?」


鳴りやまぬ砲撃の音 大砲の音

半ば砕けたこちら側の城塞

「ジャン、いえ、ヴァレッタ総長」「総長、グランドマスター」


「敵の兵士たちの首を送り返してやる!まだ、殺してない 今から‥」

ヴァレッタ隊長いや、総長が叫んだ。



捕まっていたのはオスマン帝国の者達だけでなく国も違う、様々な国々の兵士達

中には若いイエニッチエリたち‥幼くしてデウレシメで徴兵され

キリスト教徒から改宗した者達もいたのだが‥


ハッとして目を覚ますヴァレッタ隊長

「また、うたた寝ですか・いけませんね 何かまた悪い夢でも?」

微笑してみていたのは魔物の吟遊詩人


「これは‥この夢は?」ヴァレッタ


「ただの夢ですよ 多分ね」吟遊詩人で魔物のシオン


「そう、今はね グランドマスター ヴァレッタ総長いえ、今はまだ隊長」

吟遊詩人で魔物のシオンはヴァレッタ隊長に聞こえない様に呟く



そうしてイスラムの帝国 オスマン帝国の離れたトプカプ宮殿


一人の若者 イエニッチエリの護衛兵ナウファルが 眠りから目を覚ます

「夢の中で私の首に刃が振り落されそうになった あれはマルタの海賊

マルタ騎士か?」彼は大きく息を吐く


「間もなく姫様の警護の時間か 行かなくては‥」

彼は自分の独特な帽子を被り、彼が恋心を抱く姫の元へと向かう




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