第96話 ムスタファからの贈り物

オスマン帝国にいる少女マリアは不安であった。

今は男装は解かれ、イスラム風の綺麗なドレスを着ている

「リヒター修道僧さま」

一緒にいた修道僧リヒター

彼は所属している教会から呼ばれ、ひとときマリアから離れたのだった。


こちらは所属する修道会のある小さな屋敷

「マリア様は大丈夫だろうか?」呟くようにリヒターが言う


そこに他の修道僧が話しかけた

「リヒターさま 売られたキリスト教徒の者達ですが 

せめて 三分の一だけでも買い取り、自由にしたいのです」

「わかっている もう少しだけ寄付さえ集まれば」


こちらはマリアの滞在する屋敷

「リヒター修道僧様・・呼び出されて、まだ戻らないわ」

マリアの部屋には 豪奢な家具に花も飾られ、座り心地の良いクッションもある

出されている美味しそうな食事をただ、見ていると‥

ノックの音と共に一人の若者 ムスタファが入って来た

「元気そうだね」「あ、ムスタファさま」


「部屋は気に入ったかい?」「とても豪華な部屋で食事まで感謝しております」

「ずっと私の傍にいる気はないかい?」

ムスタファはゆっくりと近づき、それからマリアの首に

高価な首飾りに手首には金と宝石の腕輪をつけながら

そっと言ったのだった。

「え・・あの」マリアは戸惑うのだった。





9月吉日

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