第95話 南欧のワインに仏蘭西の聖女

「南欧のワインが手に入ったか」大きく一つ息を吐く


今晩、楽しむワインを眺めながら 揺れる船の船室

頂き物でもある茶と菓子を口にしたフリップ・ド・ヴァリエ。リラダン総長


「職務の後と祈りの前の時間 細やかな休息か」


船に揺られる旅先のリラダン総長だが 


ネーデルランド(現、オランダ)にも足を運び、スペイン王であり皇帝から頼まれた要件 戦の為の荷物の細々とした手配などを済ませ どうにか一息をつく

各国支部からの騎士や兵士の派遣に火薬、食料

皇帝はオスマン帝国だけでなく、新教徒たちとの争いに列強との争いも絶え間ない


大航海時代で新大陸からの黄金の富も入って来るが、カトリックの守護者スペインのハプスベルグ帝国は戦争が続いていたのだった。


「ヴェネチアなどのガレー船は職業で漕ぎ手か、あれなら

給金も出て 鞭で打たれる事もないだろう」

イタリアのジェノバやヴェネチアでの出来事を覆い出す自分の方の要件、マルタ騎士団の騎士希望者に寄付を募る

水の都で美しい都市


また自らの職務 率いるマルタ騎士団 マルタ島は籠城には火薬や武器などもだが

食料生産の開発に水の確保などの問題も残っており

こちらも資金はまだまだ必要であった


南欧の懐かしい場所 子供時代に聞いた仏蘭西の聖女ジャンヌダルクの伝説

「ドンレミ村 そこが聖女の生家だったとか」


ふと、眠気を覚えて ゆっくりと瞼を閉じかけ‥


「きゃああ 南欧のワインよお シオンちゃん」「うん、そうだねサラ」

「お菓子も美味しいわ ブルーチーズもいいわね」「うんうん」

賑やかな声と食べ物を食べる租借音も一緒に聞こえる


聞き覚えのある 慌てて目が覚めた

「シオン それに…名前を忘れたが この二匹のネズミども

私の食事だぞ それは私のワインだ」悲鳴に似たリラダン総長の声が船室に響く


だが既にワインのコルクは小気味よい音と共に抜かれ

三つのゴブレットに世話焼きのシオンが酒を注いでいる 

サラの方は嬉しそうに飲んだり、ワインにパンを浸していたのだった。


口をパクパクとさせているリラダン総長


「ワイン‥フランスの正義の聖女 

純粋で心優しい麗しい聖女のジャンヌダルクもワインがお好きでしたね」シオン


「え?」きょとんとするリラダン総長


「ワインに浸したパンはとても好きでしたよ」微笑むシオンがいる

そうして彼の青い瞳は何かを懐かしむように

ゴブレットのワインとテーブルのパンを見つめながら微笑するのだった。






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