第93話 ボスポラス海峡の屋敷 マリアとムスタファ

たぷん、ボスポラス海峡の波音が遠くから小さく聞こえた。


「それにしてもどうなるかと‥私の不注意です お許しください」

アラブの衣装に変装しているリヒター修道僧が言葉を紡ぐ。

「そんな、こうして無事でしたもの 大丈夫です」男装姿の少女マリア


「昨日の商人の話でしたが‥探し人の少年マルコ殿」リヒター修道僧


「ええ、トプカプ宮殿に出入りする大商人、マルコを引き取ったのは大金持ちだったもの 確かに可能性は高いと思いますわ」男装の少女マリア


「そうですね 多分、恐らくは」マリアの腕に包帯を巻きながら言う


「それにしても此処は素敵な御屋敷ですわ アラベスク文様の見事な造り

私達を盗賊たちから助けてくださった方が連れて来てださったのですけど」マリア


夜の街で盗賊に襲われて連れ去らそうになったマリア

そんな危うい処を

偶然通り掛かったオスマン帝国の軍人たちに助けられて 今は彼の屋敷だと言う 

屋敷の大きな客室に二人でいる


「失礼致します」屋敷の使用人 召使の女性が客室に入って来た。


とても美味しそうなオスマンのトルコ料理にお茶、それから着替えを差し出された

「あ・・」マリア


マリア用にはオスマンの女性用の衣装であった。


「湯殿のご用意も致します ぜひおはいり下さい」



・・・・

湯殿を覗く者 マリアの白い肌をそっと眺めていた。


「あの少女か 後宮でもいれば皇帝の目に留まる程の綺麗な娘だ」

何処か風格、高貴さ カリスマを感じる若い男


そんな彼に声をかける部下らしき者

「ムスタファ様 軍の者達が‥」「ああ、今行く」

口元に笑みを浮かべたままムスタファ 


ヒュレカム皇后以外 ヒュレカムが後宮に入る前に

スレイマン大帝と第一夫人の間に出来た皇子ムスタファ


軍人として活躍する軍からも人望高い確かなカリスマ 

次の皇帝にと皆が望む 人気ある若き有能な将



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