10人の英雄と1人の異端

うゆ

Weapon master

 一人、また一人と闇へ葬られていく。その惨状は兵士の断末魔も相まって酷いものだ。


 しかし、有象無象の中にも象徴が紛れていたようでMagnam.50 [マグナム・ポイント・フィフティ] を使うM25で胴体を突き破ったにもかかわらず、立っている者がいた。


「What's this hole? [この穴はなんだ?] 」


 只者ではないとオルは気を引き締める。手始めに7mm弾を使うAKMで集中砲火する。しかし、その間も雑兵たちはオルへ銃口を向けてくる。障害物を駆使し弾を避けながら、脚のホルスターに掛かるリボルバーを引き抜きヘッド・ショットを決めていく。AKMのマガジンが空になったところで戦場に仁王立ちする強者へ視線を向ける。


 さすがの強者もオルが全弾当ててくるとは思っていなかったのか、ダメージをもろに食らい、被弾の反動でかなり後ろまで飛ばされていた。それでも、最後の足掻きとして背に携えていたRPGを素早く構え速射してきた。



「I wanna call my baby……Last time. [最後に……妻の声を聞きたかった。] 」


「!?」



 それを確認したオルはAKMでは発射レートが間に合わないと判断し、サブマシンガンへと切り替えた。UZIのトリガーへと手を差し伸べ、最後のマガジンを使い果たし、最後の雑兵たちを淘汰した。障害物へ身を隠す。アイテムポーチからグレネードを取り出しピンを抜く。RPG弾のスピードとグレネードの起爆までの時間を測る。


Three Two One……Zero


 激しい爆発音とともに、オルと雑兵の死体が吹き上げられる。


 空中で体制を整え着地する。辺りを見回し、敵がいないことを確認して一息つく。



「I need calm down. [ 少し落ち着かねば ] 」




こうしてオル【Weapon master】により、「Dead hill [ 惨状の地 ] 」が制圧された。

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10人の英雄と1人の異端 うゆ @uyu717

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