第34話 モウゲ伯令嬢キンドリー 5

 豚が、夜会の会場から何処とも無く逃げて行った事により、全てが豚の行いの悪さ不行状によって婚約破棄に至ったとの申し出が認められた。


王様に謁見して、婚約破棄の賠償とレイモンド伯との婚姻も王様から簡単にお許しがいただけました。


キャンベル公爵からも、婚姻の後見人を心良く引き受けてもらえ、いよいよ婚姻の祭典に。




 大神殿祭典の間には、巨大大聖樹様のレプリカが祀られています。


その大聖樹様には、緑、赤、黄、青などに点滅して光輝く魔道具が配され幻想的な雰囲気を醸し出しています。


レイモンド伯と私は招待客の皆さんに見守れながら、大聖樹様 大神官様の元に腕を組んでゆっくりと進んで行きます。


招待客には、八公爵家のご当主様が皆さんおこしになっておられますし、国王陛下の代理として宰相閣下と数人の大臣職の方がお見えになっています。


大神殿祝典の間には、荘厳で華麗な曲が流れ二人を祝福します……あら、ロリゴーレム達が演奏してますわ、まあ目立ってないですし いいのですが大神殿でもコストカットで人からロリゴーレムの演奏に変えるのはどうなのかしら。


あのロリゴーレムも最初見た時は可愛いと思ってましたが、どんどん数が多くなっていき何処にでもいる存在に、そして同じ顔なので遂には嫌いになってしまいました。


王都、王国の労働力を安価に支えている存在とはいっても数が多すぎです。



 大神官様が大聖樹様に祈りと感謝の言葉捧げ、私達は大神官様から祝福の言葉を賜りました。


そして、3枚の婚姻契約書に私、レイモンド伯様、大神官様が署名し私、レイモンド伯様が各自にて保管し、最後の一枚は大神殿にて保管されることになります。


これにて、婚姻は成立しました。


  今から私は、 レイモンド伯爵家夫人キンドリー となります。





 婚姻の祭典に出席された沢山の方々と共に、大神殿を後にしてレイモンド伯邸に帰ります、そう 今日からレイモンド伯邸が私の家なのです。


この日からレイモンド伯邸は3日間解放され全ての人が私達に挨拶出来るようになります、しかし解放されるといっても、もちろん唯の平民は入れませんが何かの組織の代表の方なら平民でもレイモンド伯邸に入場でき私達に挨拶できます。


 私達は会場に拵えられたひな壇に並んで座り、そして挨拶に来られた方々から祝辞を述べられます。


これが、すごく大変なのです。


まず、挨拶は爵位の階位の高い方からになるのですが、上位、同位の爵位の方が祝辞述べられた時は座って聞いた後、立ち上がりひな壇を降りていき


「今後とも、レイモンド伯家をどうかお引き立てください」


など、話掛け二人で腰を曲げて下手に出て返礼をしなければいけません、遺族の礼儀なのだそうです。


そして、またひな壇の席に座り直し、また祝辞を聞いて 立ち上がりひな壇をおりての繰り返しを続けます。


しかし、伯爵家ですので上位 同位の家が少なく まだ ましなそうです。


オクク男爵、豚と婚姻していたら、ほぼ全ての祝辞を述べてくれた貴族家に同じことをしなければならない事になっていたので、本当に婚約破棄できて良かったです。


 そして、今日の挨拶の予定は終わり……初夜となりました。




 レイモンド伯は疲れ切っていたのか、ロマンチックな時間も言葉も無く


私を押し倒し、初夜の行為はすぐに終わりました。


一人安らかに隣で眠るレイモンド伯を見つめながら、


私は何かを間違ってしまったのでは無いかと思いに囚われながら眠りに就くのでした。




 



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る