第33話 モウゲ伯令嬢キンドリー 4

 ついに、私の婚約者 豚に鉄槌を下す時が来ました。

 

キャンベル公爵が派閥の若い貴族を集めての夜会を催おされると、派閥の各貴族家に通達が回ってまいりました。


やっと、豚を倒す証人が見つかり証言をしてくれると約束が取れた時でした。


まるで全ての準備が整うのを待っていたかのように、狙いすましたナイスタイミングで夜会が開かれる事になりました、大聖樹様に感謝です。



 夜会当日、まるで当然の顔した豚が私をエスコートして、夜会の会場に入ります。


本当なら、私は愛するレイモンド伯にエスコートされ、幸せに包まれながら夜会出席するはずなのに。


私を勝手気ままに夜会会場を連れまわす豚…… 豚が、夜会出席者への挨拶に集中している間に豚からこっそり離れ、愛するレイモンド伯の元に。


「すいません。遅くなりましたか? なかなか、豚……オクク男爵が気持ち悪い視線を私から外してくれず逃げられませんでした」


いけない、いけない 豚などと汚い言葉を使うとレイモンド伯に嫌われてしまいます。


「ああ、あのオクク男爵の視線さぞ辛かったでしょう」


二人は、ひしと抱き合い愛を確かめあう。 周りの夜会出席者は見えない聞こえない……振りをしているのも、きずかずに。


「レイモンド伯さま~~!! 強く抱きしめて、癒してください~~~!!」


一度強い力で私を抱きしめて、レイモンド伯様が私の瞳を見つめ


「さあ、キンドリー 可愛そうな証人の皆さんの準備も整っています 今こそ邪悪なオクク男爵を倒し、私達の未来を、幸せを掴みましょう」



 レイモンド伯様と夜会会場を進みます


まるで、私達が進む道を示すように豚の場所にむかって夜会出席者の皆様が道を開いてくれます。


そして、豚が夜会出席者と談笑している前に行き




「私は、このレイモンド伯爵と婚約することになりましたので、オオク男爵との婚約は破棄させていただきます!!」




と、私は声高らかに、夜会会場に響き渡るように宣言する、そう私は今、御伽話のヒロインになったのです、横にはレイモンド伯様が私を守るように控えてくれています。




 「ブヒ、キンドリー、何言ってるの冗談だよね?」




 「あなたの、不行状はすでに全て掴んでおりましてよ、領地では重税を掛け民を苦しめ、ここ王都でも幼い子供に金銭を渡して淫らな行為をしていると」




 「ブヒン、どこからそんな話が?」




 「証人がおりましてよ、ここに」



私に後ろ方、計画どうりに3人の可哀想な平民が現れます。





 「このおじさんに、後ろから抱き着かれました・・・・臭かったです」




 「お尻触られた・・・・気色悪いです」





 幼女2人が豚を指を差されて言います、そして汚いおっさんが、




 「ほとんどの収穫を税に持っていかれて、食べる物が無く飢えて止む無く土地を捨て この王都に逃げてまいりました」



豚が驚愕の表情で凍り付いています。




 「オオク男爵 これであなたの不行状は証明されました、貴族として高貴なる義務を忘れ この不行状 この行状をもってオオク男爵の有責にて婚約破棄させていただきます・・・そして、私 キンドリーは、あなたの不行状を相談を親身になって話を聞いて頂き、婚約破棄を応援していただいた、レイモンド伯爵と新たに婚約する事といたしました」


ああ、ついに豚に鉄槌をくだした。


レイモンド伯様は私の手を取り、その手の甲にキスをし優しい瞳で私を見つめてくくれた。


 「ブヒ、ブヒン~~~~」


私達の甘美な時間を割くように、豚が叫びだした。



 「ブヒ~~~~~~~~~ン~~~~~~」


豚が、お腹のぜい肉を振り振りしながら夜会会場から逃げていきます。


会場からオクク男爵の有様に嘲笑が漏れ聞こえます。





やっと、三文芝居が終わったか


我が親友を独り占めしようとした、あの小娘のヒロインぶった三文芝居が終わり、私は歓喜を押し殺す。


そう、私は知らなかったのだ我が親友がこんな酷い目にあうことを。


だから、私も三文芝居をする。


 「おやおや、モウゲ伯爵家のキンドリー令嬢は、私 主催の夜会で面白い余興をしてくれるね」


 「はい、本当に楽しい余興でございますね」


我が秘書の残念アルルは、分かっているな ちゃんと三文芝居に付き合ってくれる。


さてさて、我が親友を救う為に動くとするか、アハ、アハハハ 声を漏らさず笑うのが、こんなに辛いとは あ 笑いが漏れてしまった。


アルルも堪え切れず、おもらししてしまったようだ。


さあ、三文芝居を続けよう


「ああ~~~。小心者で臆病 そして 心優しい我が親友よ 早く その卑屈で醜い笑顔を見せておくれ・・・・・・・・・・・・・・・・こたびの事 徹底的に調査せよ 私の顔に泥を塗り 友を泣かせたこと必ず後悔させてやる!!」


 その声は私が発したものなのに、思ったよりも深く暗い声だった。


「は、必ずや!!」


秘書のアルルは、何かを押し込めたように返事した。



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