第5話

 魔法使いギルドの外観は歴史的な建物というのがはっきり分かる精巧な石像や金の装飾がある。中に入ってみると俺が想像するようなとんがり帽子をかぶった魔女が受付をしていた。


「少し悪いが、ここが受付かな? 」


「ええ、そうですよ。ご用件はなんでしょうか? 」


 受付が少し怠そうに言ってきたが気にせず適性検査と精神検査を受けにきたことを話す。


「そうですか、今満員でご予約はないとのことなので30分ほどお待ちしていただきますがよろしいでしょうか? 」


「別に大丈夫だよ。ソフィアも待てるかな? 」


「大丈夫じゃよー」


 待合室で丁度いい絵本があったのでソフィアに読み聞かせをしようと思う。ついでに自分もこの世界のことを少し知る機会になるから一石二鳥だ。


「ソフィアー絵本読もうか? 」


「ありがとうなのじゃ」


と言うと本を探すのをやめて、隣に寄り添うように座った。


「ヘレス神話ってタイトルだよ」


「はーい」


「昔々、とある星で働いているヘレスは、この星の神様リボースに呼ばれました」


 ヘレスの髪は金髪で透きとおるような白い肌をまとっていた。星の風景もこの異世界と同じように自然がいっぱいある。


「リボースはヘレスにこう言いました『この星地球の神様になって我々と同じような生き物を作ってほしい』 」


「ヘレスは早速地球に向かい。新しい生き物の邪魔になるような、恐ろしい化物を空から岩を落としやっつけました」


「その後新しい生き物が寒さに耐えられなかったり、化物にやられ、新しい生き物がいなくなってしまいました」


「そして地球が暖かくなった頃リズとリアの間から産まれたに6体の生き物が地球にきた」


「その生き物達はどんどん数を増やし、その過程の間にヘレスは新しい生き物にこう名前を付けました。『人間』と呼ばれた生き物はその人間から言葉というものを身につけていき、どんどん成長していきました」


「ヘレス神の力で今の幸せな地球はできました。めでたしめでたし」


 そこにはヘレス神と人間達が大団円を作り笑っていた。しかし昨日体験した、殴りかかってきた黒人はその絵の中には居なかった。この世界には前の世界でいう19世紀から20世紀前半の人種差別が確実にあると考察した。


「ありがとうーケント」


 ソフィアは読みきかせてもらって喜んでいる。名前も昨日の夜に教えて以降使ってくれて嬉しい。


 そうこうしてる内に魔法使いから精神検査と適性検査を受けるよう言われ、ソフィアと一旦別れることにした。


「はい、じゃあよろしくね」


 声をかけてきたのは今回検査をさせてくれる魔女、シルバードと言う銀髪で巨乳のお姉さんだ。


「よろしくお願いします」


「じゃあまずは精神検査をしますね」


 チェックマークを付けていき、質問にも答えていって精神検査は終わった。


「はい、じゃあ適性検査やりましょうか」


 大きな機械が用意され、この機械はどうやら手を置いて魔法の適性を測る物らしい。


「手をそこに置いてください」


 俺は素直に手を置きシルバードに身をまかした。そうするとシルバードは胸が俺の体を触れることに恐れず、テープやシールを貼ってくる。


「む、胸当たってますよ」


「大丈夫よ、そのままにしてね」


 いや大丈夫じゃないです。なんだかんだ胸を押しつけられながら検査を受けた。


「はーい終わりましたよー」


 検査結果が出るまで少し待ち、そして結果を聞いた。


「まずデータを元にしてステータス化するとこうなりますよ」


精神検査ランクD

属性魔法

適性有 水属性 風属性 地属性

適性無 火属性 闇属性 光属性

無属性魔法

基本魔法 最大サイズ最高品質のアイテムボックス 


「これはすごいですよ! 」


 シルバードはそのように言う。属性魔法は一般人の範疇と言うのだが、アイテムボックスが魔法使いギルドの所長と同じだというのだ。


「もし使えるならば、私たちの魔法使いギルドのサポートをしていただけないでしょうか? 」


「大丈夫ですよ。ですけどどうやって連絡するのですか? 」


 俺が連絡手段や報酬について聞くと、シルバードは物を取ってくると言ってその場を離れた。


「何か連絡する時はこれを渡すので使ってください。名前はアミュレットフォンです」


 と言って渡されたのは正直昔の映像でしか見たことない、PHSだった。折りたためないボタンでキー打つ携帯とか初めてみたわ。

 そしてしばらくアミュレットフォンの説明を聞き、その後アイテムボックスについて質問する。


「あの、前このアイテムボックスを見せたらキャパティーって言われたんですけどあれはなんですか? 」


 シルバードは驚いたのかもう一度聞きなおし、こう言った。


「キャパティーは簡単に言えば死語です。物の例えとかで言われましたか? 」


「いや、本気でキャパティーって言われましたね」


 シルバードはさらに驚き、あり得ないと言いつつさらに質問を重ねる。


「まさか長寿の種族である、ドラゴンとかじゃないですよね? 言われたのは? 」


「ドラゴンですよ。今アイテムボックスに入っているので見せましょうか? 」


 シルバードは困惑した様子でそれでも興味津々で聞いた。


「見せてくださいませんか? 」


「カリア、アイテムボックスから頭だけ出してくれ」


「分かりました。これでよろしいですか? 」


 俺はこれでいいとカリアに言い、シルバードは驚愕して声を漏らす。


「こんなの歴史書でしか見たことない……私個人的にさらに興味がわきました。これからも仲良くしてください」


 シルバードはそう言いつつ俺の手を両手で握ってきた。


「ええ……これからもよろしくお願いします」


 そして魔法の印を買うのはどこがいいかをシルバードに聞き、お礼を言い待っていたソフィアと再開して、ソフィアのステータスを聞いた。


精神検査ランクD

属性魔法

適性有 光属性 風属性 

適性無 火属性 闇属性 地属性 水属性

無属性魔法

基本魔法 低品質のロック


 とのことらしい光属性で使えるのはDランクでも高火力魔法や応急処置魔法が使えるので恐らくDランクまでなら1番強いと言われてるらしい。


 店でさまざまな魔法の印を買い、街の外れで魔法を試してみようと土の印[ドダイウォール]を使ってみる。


 それはただの土ボコだった。


「おいー!」

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