第4話
「おい、お前らは誰だ!」
俺たちは突然大声で呼びかけられた。呼びかけられた方向を見てみると鉄の鎧を着て、いかにも中世っぽい兵士だ。
「俺はただ入ろうとしただけだ」
そうとしか言えなかった。兵士がキレて俺たちを捕まえてくるのではないかと不安だったが違うらしい。どうやら別の入口から行けとのことだ。
「さようならなのじゃー」
俺たちは産業用ではない方の入り口からボーラタウンに入った。
街は中世ヨーロッパ風の建物が並んではいるが、よく見ると電灯があったりと意外と近代に近い感じだ。そして街には活気が溢れている。俺はすぐ近くの服屋でソフィアに適当な服を買い、その後酒屋兼宿屋があることに気づき向かうことにした。
「あーあの上司やっぱ最低だよな。お前らもそう思うだろ?」
「「分かるわー」」
「でさ、女なんて家で家事して子供の育児だけすればいいんだよ。それなのに俺の給料ほとんど取ってほぼ小遣いないんだよ」
「あぁ、それは最低だな」
このような雰囲気らしい。お世話にもいい雰囲気の酒屋ではないが、クズ達の話を聞き流して、チェックインをするために会計に声をかける。
「今から泊まりたいんだけど、どこか空いてない?出来れば2部屋予約したいけど」
店員は予約の確認に行った。その間ソフィアが服の袖を引っ張ってきた。何か話したいのか、背伸びをして俺の耳元でささやく。
「一部屋で大丈夫なのじゃ」
俺は分かったよとソフィアに言い、店員が戻るまで待つ。
少し時間が経ち、確認してきた店員が会計に戻ってきた。
「現在3部屋空いております。隣同士が空いているのでそちらの部屋にご予約でよろしいでしょうか」
「いや彼女が一部屋で良いと言うので一部屋で。あと空いてる中で1番良い部屋に予約お願いします」
「はい、分かりました。こちら部屋の鍵となっております。何か要望がありましたら、会計兼窓口にいらしてください」
俺は402号室の鍵をもらい、部屋に行こうとしたが今日の朝から何も食べてないことを思い出す。今更腹の虫が思い出したかのようになったので夕飯を食べようと思う。
空いてる席はどこかな?
「ここにあるのじゃー」
俺たちは空いてる席を見つけ出し急いで座った。メニューを見てみると黒の板は4ジギル(160リオン)茶色の板は5ジギル(200リオン)のように板の色で金が変わるシステムらしい。回転寿司かな?
「ソフィアは何がいい?」
「飲み物はなんでも大丈夫なのじゃ」
メニューに水が無く、店員がこっちに来たので、水があるかどうか聞く。どうやらこの地域の水は飲めないらしい。俺たちが田舎者だとバカにされたが気にせずソフィアに聞く。
「おすすめはエールかワインだけどどっちにする?」
「それならわしはワインにするのじゃ」
「なら俺もワインで。それと料理は俺で決めるけどいいかな?」
「あっ、えっとそれで大丈夫じゃよ」
俺は店員をもう一度呼び、注文を伝え、料理が来るのを待つ。待っていると後ろから肩を叩かれ、その方向を見ると突然顔を殴られた。
「おい、なんで奴隷連れてるんだお前は人間の敵だ殺してやる」
と言われてが、俺は驚き二発目を慌てて避けた。そして相手は三発目を出そうとするが、身体強化された拳の勢いをのせカウンターで相手を殴った。
「ぐ、ぐわぁ……」
相手を2mほどぶっ飛ばし、周りは
騒然としていた。
「な、何があったんだ……」
「どうやらアイツが殴りかかったらしいんだよ」
「あー土人だな。ったくヘレス神に敬意を払えない奴が人様に迷惑をかけるんじゃないよ」
「一発であそこまでぶっ飛ばすのすごいな」
俺は店員にアイツを追い出すように指示して食べにいく、飯は美味しくいただいた。
そして俺とソフィアは部屋の鍵を開け、彼女は疲れたのかそのままベッドに向かって倒れるように寝た。俺もすぐに彼女に添うように眠る。
「はあ……はあ……」
何者かが俺に向かって走ってくる。俺は恐怖を感じすぐさま逃げた。だが彼の方が足は早く追いつかれてしまった。俺の肩に手を掴まれ、後ろを振りかえってみると高原の姿がそこにはいた。その瞬間俺は夢から目覚めた。
「はぁ……はぁ……」
動悸が収まらない、復讐のはずなのに罪悪感を抱えてる。もしかしたら復讐は失敗ではないかと一瞬頭をよぎるがその不安を押し込めてもう一度布団に潜る。
「おはよー」
ソフィアが俺の布団に潜って起こしてきた。すぐに起きて、出かける支度をする。街には装備や服を売ってる店もあり、ここを見てまわることをソフィアに言うと喜んでくれた。
装備屋を見てみると魔法の印も結構ある。それらの中にある土の印という物に興味をもった。
買おうと思い、店員の元に向かった。店員が言うには、本当に魔法の適性があるかを確かめる為に魔法使いギルドで精神検査と適性検査を受け、カードを作らなければいけないのだ。
そういう訳で今、ソフィアと2人で魔法使いギルドにいる。
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