第3話
俺は道から直接見えないと思う位置に降ろすようにカリアに命令した。
そして俺は道にむかって走り、出たところでカリアに命令を出す。
「運転してるやつに巻きつけ」
カリアはすぐにやってくれた。手綱を引く人がめちゃくちゃに引っ張っているので馬は暴れているが気にしないが、馬車の中から2人が出てきた。その様子を見ていた俺はカリアに大声で伝える。
「カリア、馬車から2人出たぞお前はその2人を殺せ」
カリアが瞬殺してくれる間に俺は馬車の運転手に駆けつける。
「おい、金を出せ」
俺は運転手を脅す。彼は顔面蒼白になり話していく。
「金は馬車の中にある、3万ギリルあるから命だけは」
俺はその運転手が嘘をついてないかを確かめるため、アイテムボックスに彼を押し込めた。
「おい、これをもう一度くらいたくなければこれから言う質問に正直に答えろ」
「分かりました。し、正直に答えますから、やめてくれ」
正直に答えてくれるようになったところで一つ目の質問を聞く。
「あの馬車の中には金以外に何が入っている?」
「はい、良い奴隷が3匹入っております」
どうやらこの国には奴隷制度があるらしい。俺は次に思いついたことを質問する。
「俺を連れて町まで行かせろ」
「えっ、あっ、わ、分かりました。ご案内いたします」
案内もしてくれるらしい。すごい親切な運転手でこっちも助かったよ。
「カリア戻っていいぞ」
カリアを別のアイテムボックスに入れて、彼に運転をさせる。その前に俺は馬車の中に入る。
奴隷には手錠と足枷がかけられている。俺は3人いる奴隷の中に容姿に優れている人が居ないか探す。そして金は木箱の中に入っていた。小袋に詰められていて、重さもずっしりとしていた。一枚一枚も大きい。そんな硬貨を俺はアイテムボックスに入れた。
俺が特に良いと思ったのは真ん中の女の子だ。狐の耳と尻尾が特徴的で、金髪低身長ロリと二次元でしかありえない女の子だ。
「君の名前はなんなのかな?」
「わしの名前はソフィア・ベーカーなのじゃ」
どうやらのじゃロリでもあるらしい。アニメでもここまで役満なヒロイン設定はないぞ。俺は次の質問をソフィアに投げかける。
「君の歳はいくつなのかな?」
「わしは34なのじゃ」
年上なのか。見た目は明らかに10歳以下やと思うんだが、長寿の種族なのか?
「君の種族はどれくらい生きるんだっけ?」
「ん?あぁわしらの種族は大体450歳くらいまで生きるのじゃ」
やはり長寿な種族らしい、奴隷として売られるくらいに種族としての力が落ちたのは生殖能力の差なのかな。聞いても無駄なので他の女子にも同じことを聞く。
他の女子はエルフで孤児院にいたけど捨てられてここにいる子と、黒人少女がいた。
女の子たちと話していてどれくらい時間がたったのか気になり運転手にあとどれくらいで着くか聞いてみた。
「あと20分くらいで着きますよ」
「もう街が見える感じか?」
「ええ、もう見えてますよ」
俺はカリアに命令を出す。
「カリア、馬車の後ろから出てあいつを襲え」
カリアは別のアイテムボックスから飛び立ち、運転手を襲った。パニックを起こし手綱を変な方向に引っ張ってるので馬が暴れているが、しばらくすると馬も暴れなくなった。
俺は馬車の外に出て運転手の様子を確認する。見てみると運転手の体はカリアの体が貫通したからか一部分が欠損していた。
「カリア、多分体のどこかに鍵があるから取っといてくれ」
俺はさすがに血まみれの死体を漁れるほど現実世界の常識からは外れていないので、カリアに死体漁りを頼む。
「はい、分かりました」
少し嫌そうな顔をしているように見えたがカリアはやってくれるそうだ。
その間に俺は馬車の中で金と奴隷以外に良いものが無いか探してみる。
「ちっ、これ以外に良いものは無かったな」
一つ面白いのを見つけてはいる。運転手の家族を描いた絵と日記として書かれている羊毛紙があった。
絵は手のひらより大きく、運転手と妻と娘2人が仲良く描かれていた。羊毛紙には4日ほどの旅路が書かれていた。
ーー1日目 珍しく社内に運転手が居なかったので俺が久々に運転することになった。嫁は心配しているがきっと大丈夫と伝えて家から出た。この旅路がうまくゆかんことをーー
ーー2日目 久しぶりにやって思うのは昔より奴隷に対する視線が厳しくなったと思う。検問官に奴隷を連れて行ってると言った時、検問官の目が軽蔑してたのを俺は忘れない。きっと娘たちも心配してるから、元気に帰らないとなーー
ーー3日目 今日が一番しんどい日だった。ほとんど山を登ったり下ったりだから馬にも俺にも負担がかかる。今日は疲れた。早く寝ようと思うーー
ーー4日目 今日は朝から調子が良くない。こういう日は立て続けに悪いことが起こるって思ってるから、これ以上の不幸が訪れないようにお祈りしておいたーー
まぁ家族が大切なんだなと思った。身勝手な都合で殺したのは申し訳ないと思ったが、俺は先に進もうと思う。カリアに鍵が見つかったか聞く。
「ありますよ」
長い胴とは不釣り合いな小さい手から鍵を出してきた。俺は鍵を受け取り奴隷を解放した。
「ありがとうなのじゃ」
全員から感謝の言葉を貰った。ただみんな不安な顔もしている。これからどうしようか考えているんだろう。俺はソフィアに声をかけた。
「君を連れて行きたいと思っているがどうかな?一緒に行くか?」
「ありがとう、わしはあなたに一生ついていくのじゃ」
絶望の闇の中から希望の光が差し込まれるかの様子が手に取るように分かるほどに、ソフィアの瞳が変わった。どうやら付いていくことに快諾してくれたようだ。
俺たちは馬車から出て、カリアをアイテムボックスに入れて、街へと向かう。
だいぶ歩いたところで街が目の前に出てきた。俺たちはこれから街に入ってゆく。
「おい、お前らは誰だ!」
俺たちは突然大声で呼びかけられた。
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