1月23日 夏八木蒼の日記
なにから書こう。あのことは長くなりそうだから、まず執筆のことにする。
4400文字。これをよくやったと評価するか、まだまだだぞと辛口に評価するかは難しい。
もっと書かないとダメだけど、あれだけのことがあっても書けたのはすごいんじゃないのか。少なくとも、3200字書くまでは、あのことに手を出さないと我慢できたことはほめていいはずだ。
そうだよ、あの後で1200字も書けたんだから、それもすごい。
原稿の記録も済んだので、いよいよ、本題。本題? 謎のメールの差出人にメールを出した。秋津には危険だと反対されたけど、やらずにはいられなかった。悪いようだけど、秋津には黙っていよう。
いろいろ文面は考えた。結局、最初の一通は「ばれてるぞ」にした。お前がメアドをいじって千秋にメールを送れないようにしたことも、これまで千秋に送ったつもりのメールをお前が読んでいることもわかっているぞ、と伝えたかった。
後で気づいたが、具体的に書かなかったことはよかったのだ。相手はなにがばれているかわからないからだ。
お前の正体はばれているぞ、と勘違いしてくれて、これ以上、かかわってこなくなれば一番理想的だった。
敵は律儀に返事をしてきた。それもすぐにだ。「やっと気づいてくれましたね。お願いだから桃野千秋に近づくな」と来た。懇願だか命令だかよくわからない。
とにかくこれで敵がやっぱり近くにいることがわかった。残念だがサークル周辺だろう。千秋というのがよくわからない。
千秋に恋しているやつだろうか。
まずかったのは二回目のメールで「お前、誰だ?」とやってしまったことだ。これでこっちが素性を知らないことを相手に教えてやってしまった。
「あなたを守るものだ」と来たから、ずっこけた。どうも変な妄想にとりつかれたやつがいるらしい。でも、どうして千秋に近づかないことが「守る」なのだろう。
しばらくメールのやりとりをしたが結局やつの言いたいことは「千秋に近づくな」になる。ちょっと気がかりなのは「1月31日は絶対に近づかないでくれ、お願いだから」というやつだ。その日にこだわる理由はなんだろう。
寝るからもうメールをよこすな、と送ったら一旦は「わかった」と返事が来た。このあたりの素直さが、どうもよくわからない。
ちょっと寝れそうにないけど、寝よう。時間がない。
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