1月23日 白井冬至朗の日記

 今日はやばかった。もう少し慎重に行動しないと。でも、緑川は本当にシロなのか? 考えてみよう。


 シロだ。オレの勘違いだ。確かにあの様子は怪しかったが、このご時世だ。マスクもわかる。帽子も珍しいが、ニット帽は防寒対策にもなる。寝グセをなおすのがめんどうなときにも便利だ。そうだ、あいつは猫アレルギーだったはずだ。嫌がらせをするにしても、猫の死体を使うことはない。猫である必然性はない。あれが桃野の飼っていた猫ならば、猫である必要はある。無理してでも触る必要もある。そうではない。やっぱり、ミドリカワはシロだ。悪いことをした。でも、あいつに非がないわけでもない。あいつは危なっかしすぎる。最近は特にひどい。あの顔。ちょっとこっちの気持ちがさめるほどの顔だ。世界中の憎悪を集めたようなあの顔。少なくとも猫はミドリカワの仕業ではない。モモノが狙われたのは、たまたまだ。正確には狙われたんじゃない。無差別攻撃にたまたまあたってしまっただけだろう。それは証拠に同じような事件が、大学周辺で前から起きているらしい。相次ぐ猫事件を利用した可能性もあるが、考えすぎだ。

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