僕は勇者になりました
さて、突然ですがここで問題です。
国の偉い人に死ねと言われました。
あなたは従いますか?拒否しますか?
死にたくなければ拒否すればいいと言ったそこのあなた。
屈強な兵士に剣を突きつけられて言える訳がない!
と言うわけで勇者になりました。
あー死んだ。
僕の生まれ育った村は田舎である。
この村は今から50年前に王国に侵略された公国に属していた。
公国だった時は首都だったと爺ちゃん、婆ちゃん達はいっているが面影なんてない。
首都から馬車で1週間かかる。
中央から見捨てられた村。
僕は村長の次男として産まれた。
のんびりとした村での生活が続くと思っていたが、18歳の時に転機が訪れた。
徴兵だ。
18歳以上の男が対象になった。
大河を挟んだ向こう側の魔国に攻め入るために行われた。
僕たちは夢も希望も抱くこと首都に行く。
気分は市場に売られていく仔牛の気分だ。
馬車に揺られること1週間。無事に僕らは出荷された。
えー。だって小さい部屋に入れられてお偉いさんが入札…もとい配属先決定(金銭のやり取りあり)が行われている様は、8年前に仔牛を売りに行った時に見た風景にそっくり。
僕は入札の結果、栄えある第一騎士団の護衛部隊の護衛部、先行戦闘部隊だ。
意味が分からない?大丈夫。僕もわかっていないから。
ただ一つ言えるのは、最初に魔王軍と戦うことだ。
あー。剣支給されていないのどうやって戦えと。本当についていない。
軍に売られてひと月が経った。
ついに僕らの部隊が前線に向かう。気分は最低。
魔国手前、僕の故郷についた。故郷と言っても村からはずいぶん離れている森だけど。
久しぶりの森の香りを胸一杯に吸い込んだ。荒れ狂った心にし沁みる。
1年前と変わらない未開ぶり最高。首都のキラキラは僕には合わない。
と、現実逃避をしても仕方ないのはわかっている。
二度と戻ってくる事のない故郷に心が揺れる。
森の探索という名目で思い出の森を駆け走る。
あ!洞窟に置いてきた剣(家族に無断で持ち出した)を回収するか。
秘密基地(男の子のロマン)から苔生した剣を回収して野営地に戻った。
野営地に戻って隊長に実家による許可を貰いにいった。
って、なんですか?伝説の聖剣?これが?
誰もが持てなかった剣?いやいや、子供でも持てるし?
隊長が渡せと言うから渡してみた。だって剣突きつけられたら怖いじゃん。
隊長は剣を持てなかった。重いっといって落とした。
もっと丁寧に扱ってくれよー。
騒ぎになって騎士団のお偉いさんまで出て来た。
結果、騎士団と護衛部隊は持てなかった。僕だけが持てた。
騎士団が弱かった。これってヤバくない?
この魔国進行は失敗するなーって思っていると、勇者になれとお願いされた。
いやいや、剣を突きつけてのお願いはお願いじゃないよー。
あー、死んだ。
そうそう、生きて帰れたら王女様と結婚出来るらしい…
生きて帰れたら…
このままお家に帰っていいですか?
勇者になった僕は三等書記官と二人で魔国に侵入した。
勇者になんてなりたくない!
終わり
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