第6話
教室を出て行く先生を横目て見ながら教科書を鞄にしまい込む。
財布を片手に1人で購買に向かう。
そんな私の背後を駆け抜けていく生徒たちを眺めつつおもむろに振り返る。
私の背後には1年生の
「
不思議そうに首を傾げつつそう訪ねると彼女は“何でもないですっ!!”と叫んでどこかへ走り去ってしまった。
戸惑いつつ購買でサンドイッチと緑茶を買うと中庭のベンチに座って開封する。
ふんわりとした卵の匂いについ頬が緩む。
サンドイッチを1口口にした時“あっ…”と零す人影と目が合う。
思わずサンドイッチを口にしたまま立ち上がり、席を譲る。
「立ち食いすんなよ。行儀悪い…」
あからさまに顔をしかめてぶっきらぼうに言い放つと彼はベンチの隣、花壇の縁に座り込んで弁当を食べ始めた。
「え…」
それを見て思わずそう零すと彼は不服そうに顔を歪める。
「…何…こっち見ないで」
ぷいっと背中を向けて弁当をつつく姿を見て“隣座る?”と申し訳ない程度に提案をする。
「別に…俺の事なんて気にしないで早く食べないと昼休み終わるよ?」
そう言ったきり特に返事も無くなってしまったので仕方なく残りを口に入れて緑茶で流し込む。
「ごめんね?
先輩と言いそうになるのを飲み込みそう告げると返事も待たずに慌てて教室へ引き返す。
昼休みのせいか混み合う廊下を足早に抜けて教室に戻る。
早めに帰ってきたためまだ授業まで間に合うようで私は席に座ると次の授業の準備をしてからスマホを取りだした。
動画サイトを開いて音楽を聴きつつコメントを流し読みする。
>>この曲最高
>>え?センス無…丘陵Pの作品の方がシンプルで好きだわw
>>お前らまともに考えろ…めろちんしか勝たん!!
>>めろちんと言えばアイツまじでタヒんだの?
>>まじまじ。Lunaの過激派が殺したんだよな…リスナーの
>>その発言も誹謗中傷だからね?IDメモったから逃げらんないよ
>>は?消せよおい!!ふざけんな!!
ズラっと並ぶコメントを眺め、呆れたように視線を落とす。
「…どうして?」
どうして人はくだらない正義を振りかざして人を殺すんだろう…
結局のところ貴方も私にとってただの他人なのに…頑張っちゃってみんなバカみたい。|
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