第34話 家出少女を拾うラブコメは沢山あるけど、実際に家出JCが家まで着いて来るとか恐怖しかない!

 前回までのあらすじ


 路上でのアート活動(主に絵を描いて絵葉書として売っていた)を続けていたGhost。

 そんなある日の事。日常を揺さぶる存在……家出女子中学生(十四歳)が、ふらりと路上にやってくるのであった。


 いやぁぁぁぁ!

 こっち来ないでぇぇぇ!




○家出女子中学生ってファンタジーじゃないの!?


 ある日の週末の事、いつものように某駅にて絵を描いていました。その日、一緒に活動していたのは元暴走族の筋肉絵師Aと元キャバ嬢のメンヘラ絵師B。

 ごく普通の一日のはずだったのですが、そこに絵師Aのイラストに誘われて女子中学生の二人組がやってきました。萌え系のイラストを得意とする絵師Aは若者全般に大人気でしたが、特に若い女の子に人気があったように思います。


 なので、この日のように女子中学生が寄って来る事自体は珍しくはなく、おまけに絵師Bもメンヘラ・モードになってさえいなければキャバ嬢スキルで若い子の話しをしっかり聞いてあげるお姉さんでした。

 そんな環境だったので中学生たちもわきあいあいと絡み始めたのですが、そこで中学生のうちの一人が昨日から家出中と発覚。昨日はもう一人の中学生のお家に泊まり(ちなみに二人は昨日が初対面で、ネットで知り合ったんだそうな。デジタルネイティブ世代らしいね(/・ω・)/)、今日はぶらぶら駅前に遊びに来たようです。


 ま、これだけなら何の問題もありませんが、この状況で絵師Aが何げなくつぶやいた一言を発端として、僕はまた面倒ごとに巻き込まれたのです。その一言と言うのは、


絵師A

「あ、Ghostさん、今日泊ってっていいっすか?」


 ま、割と日常的に絵師Aは僕の家に泊まりに来てたのでここまでは完全に日常会話。


Ghost

「あー、いいよぉ。夕食は何食べる?」


 と何とも所帯じみた返事をしていたのですが、そこですかさず絵師Bも


絵師B

「お、いいねぇ、アタシも泊まるわ」


 と便乗。ま、ここまでも問題ない。今日はみんなで卓飲みかな、と言った感じ。


家出中学生

「アタシも泊まるー」


Ghost

「いや、お前はだめだろ!? 来るなよ、クソガキ」


 さぁさぁ、早速危ういな荒れになって参りました!




○見知らぬJCが家にやってくるとか、マジな話し恐怖でしかない。


 さて、駅前で駄弁っている時点で僕は不穏な空気を感じておりました。当時の僕は二十代中頃。”家出中の女子中学生を家に泊める”なんてニュースがたまにテレビなどでも報道されますが、あれを見るたびに


Ghost

(うっわー、気持ち悪い男が居たもんやなぁ。童○拗らせとるんとちゃうんかぁ?)


 と軽蔑の視線をテレビに送っていた物ですが、僕がそのテレビに映ってしまうリスクが出てきたわけでございます。


Ghost

(うっわー、絶対ダメだ!)

「泊っていいわけねーだろ。家に帰れクソガキ、ボケがぁ」


 というわけで、家出中学生を追い払うために珍しく暴言吐きまくりのGhost。それに対して、


絵師A(20歳)

「良いじゃないですかぁー」


絵師A(28歳。女性)

「良いじゃん、良いじゃん。みんな居た方が楽しいし」


Ghost

「いや、二人は良いかもしんないけど、完全に俺犯罪者になるからね、これ! クソガキはお家に帰ってクソして寝てな!」


家出女子中学生

「うっせ、バーカ、バーカ! 絵師Aさんも絵師Bさんも良いって言ってんじゃん!」


Ghost

「俺んちだからな! オレが良くねーわ!!」


※注

未成年者略取及び誘拐罪(刑法224条)

拐取の対象が未成年であることが要件である(なお、本罪では民法753条の規定と異なり、婚姻と関係なく年齢によって未成年の区分がなされる。)。法定刑は3月以上7年以下の懲役。

ちなみに親告罪。


 と全力で拒否した物の電車で家に帰る道中も僕らに着いて来る家出中学生……というか絵師Aと絵師Bが何も気にしないで連れてくる!!


 ま、今思えば絵師Aと絵師Bがあまり気にしていなかったのは仕方ない事なのかもしれません。

 何せ、絵師Aはつい最近まで十代。家出中学生とも、それほど年が離れてるわけじゃないから気にしない。絵師Bは女性だから気にしない……うーん。


 ここで僕は状況整理をします。

 つまり現状は、


・絵師Aと絵師Bが居るので、家出中学生を僕だけしか居ない家に泊めるわけではない。

・家出中学生と歳の近い絵師Aが居るゆえに情状酌量の余地あり!

・女性である絵師Bが居るので、これはあくまでも家出少女をしたという名目がたつ。

・ゆえに僕は無罪! 圧倒的無罪!! 完全に無罪なのである!!!


 これは、言うてしまえば保身を第一とした汚い大人の思考です(笑)


 と言った流れで絵師A、絵師B、家出中学生の三人を連れてヘルハウス我が家近くのスーパーへ向かい夕食の買い出しを行い、ついでに家出中学生にお金を預けて公衆電話でお家に電話を掛けて事情を説明するように指示(中学生は携帯電話を持ってなかったのよ、たしか)。

 そんな道中でも僕は家出中学生を追い払いたいから、


Ghost

「クソガキ」

「アホ」

「ボケ」

「クソガキ」


 と暴言を連発していたのですが、家出中学生もそれに慣れてきたのか僕の暴言に対して遠慮なしの暴力(股間蹴り! 痛い!!)を振るう始末。うん、思い起こして当時の事を描いてるけど、僕の扱い酷すぎね(/・ω・)/


 結局ヘルハウス我が家までやってきてしまったので、普段通り僕はお料理をしまして、客人たちには酒のつまみを作り、家出中学生にはたしかオムライスでも作ったんだったかなぁ。


 さて、夜も更けてまいりまして、なんだかテンションは修学旅行気分。途中、家出中学生が絵師Aに「付き合ってください」的な告白をし始めたので、


Ghost

「ガキが色気づいてますぜ。ぎゃっはっはっは」


 と大笑いしてやったところ、これ以上ないというほどにボッコン、ボッコンに殴られましたが(ちなみに絵師A、絵師Bはその様子を爆笑しながら見てる)、なんやかんやで無事に一日を終える事が出来るかなぁと思った夜の十時ごろ、突如メンヘラ絵師Bの体調に異変が発生。

 唐突な不安による軽いパニック発作のようで、絵師Bはそのまま実家に電話をかけて迎えに来てもらう事に……。




・絵師Aと絵師Bが居るので、家出中学生を僕だけしか居ない家に泊めるわけではない。

・家出中学生と歳の近い絵師Aが居るゆえに情状酌量の余地あり!

×女性である絵師Bが居るので、これはあくまでも家出少女をしたという名目がたつ。

△ゆえに僕は無罪! 圧倒的無罪!! 完全に無罪なのである!!!




 ぼ、僕の無罪に陰りが見えてまいりました。なんで帰っちゃうのぉぉぉぉ!!

 あ、ちなみに家出中学生は夜九時には爆睡しておりました。

 子供か!? (/・ω・)/


 さて、その後ですが、翌日には帰るかと思いきや絵師Aも家出中学生も帰らずにもう一泊していき、僕はその間のご飯を作ってあげたり、相変わらず暴言吐き続けていたら絵師Aが女子中学生に教え込んだ人体急所(太もも側面にある場所)に蹴りを入れられ悶絶させられたり、と平穏にすごしたそのまた翌日、ようやく家出中学生は帰っていきました。

 ちなみに二日後くらいにすっごい痣になった(笑)

 僕がアホだから笑って許していますが、世の中にはこういう暴力を喜ぶ変態もいますので安易な暴力はイカンと思うのですよ(主張の方向性が間違っている気がする)。




○家出中学生のその後


 さて、その後、僕は家出中学生と会う事はなかったのですが、絵師Aとは交流が続いたそうです。

 絵師Aから聞いた話では、


家出中学生

「中学卒業しても高校は行かない!」


 と言っていた彼女も無事に高校に入学したそうです。

 ま、結果的には珍しくハッピーエンドなエピソードと言う事で(/・ω・)/


 さて、今回はせっかくハッピーエンドだったのですが、その後、家出中学生と絵師Aの二人をきっかけに絵師Bがメンヘラを大爆発させることになるのですが、それはまた先のお話し。


 次回、夢を追ううちに夢に追い込まれた男たちの話し!


 to be continued(/・ω・)/

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