ブラック企業に就職した俺がチートスキル(精神疾患)を手に入れて、現実社会で俺YOEEEE!!する実話2! ~ブラック・アーティスト群像劇編~
第22話 演者と裏方って左右の車輪のような関係なのだとしたら、これは奇怪な車輪のお話である。
第22話 演者と裏方って左右の車輪のような関係なのだとしたら、これは奇怪な車輪のお話である。
前回までのあらすじ。
劇団の運営が本格化するうちに発覚した圧倒的、裏方不足!
それを補うために二人の
〇いくらなんでも、一人で照明卓と音響卓を同時に操作できるわけがない!
劇場やライブハウスの後ろの方にひっそりと配置されている事が多い
ここには音響設備や照明設備が設置され、各機器をオペレーターが操作します。
想像し辛いようでしたら、音響や照明を操作する、なんかスイッチがいっぱいある機械が置いてある部屋と認識してもらえれば大丈夫です。
さて、この音響と照明ですが、同時に操作するタイミングが多々あるわけでして、腕二本じゃ到底足りない。そんな困っていた僕に「手伝おうか?」と声をかけてくれたのがミュージシャンAさんです。
《プロフィールから抜粋》
○ミュージシャンA
当時、三十歳前後。男性。二つ名『皇帝』
あらゆる楽器を使いこなし、ボーカロイドまで駆使し、さらにボーカルとしても高い技術を持ったミュージシャン。若い頃のアントニオ・バンデラスのような、濃い顔の寡黙なイケメン。
大量のエフェクターを使用する人で、機材の詰まった巨大なジュラルミンケース(通称・『棺桶』。重さ三十キロ以上)を装備している。
《所有する芸術スキル》
・作詞、作曲、編曲。
・シャウト、デスボイス。
・弦楽器、キーボード、DTMのスキル。
・驚異の下ネタ好き。
・風貌が魔王。
・小学校の先生のスキル。専門は家庭科!?
彼は僕がバンドをやっていた時に知り合ったミュージシャンでした。
初めて会ったのはライブハウスの控室。
睨み殺すような目つきでギターの手入れをしながらソファに座り、その後ろで彼女さん(高校生)が黙々とミュージシャンAさんの髪の手入れをしている。
何と言いますか、その堂々たる姿(あくまでも本人は普通のつもり)が暗黒のオーラで溢れていて、音楽活動を始めたばかりの僕は、
Ghost
(怖えぇぇぇぇ! バンドマン、マジ怖えぇぇぇぇ!)
とビビりまくったわけですが、話してみるとめちゃくちゃ優しい。ぶっきらぼうで、あまり感情的な態度を取らない人でしたが圧倒的優しさと、ボソッと呟くエグい下ネタ! そして音楽に対するマルチな技術を持った人でした。
こんな風貌、闇のオーラを纏っておきながら、本業は養護学校(小学校)の先生らしいです。専門教科は家庭科。もはやギャグにしか思えない! ウソって言ってよ!
とは言え、彼が作ってくれたカレーは美味しかったなぁ(/・ω・)/
もう一人の強力な助っ人は役者Aが東京で知り合った小説を書いている人でした。
《プロフィールから抜粋》
○小説家A
三十歳前後。男性。東京在住。
自身も小説家を目指しながら、電子書籍黎明期に電子書籍特化の出版社を起し、自社レーベルからの書籍発行に勤しんでいた人。めちゃくちゃ仕事できる。すごい。
劇団A組への脚本提供や本番時のアシスト、さらに自社の発行する電子書籍にてプロモーションまでやってくれた恩人。そして僕と共にブラックアーティストの被害を相当受けた被害者。あとヘビーメタルが好き。
《所有する芸術スキル》
・小説、脚本。
・ホームページ制作、デザイン。
・ハイトーン・シャウトの使い手。
・ギタリスト。
・営業スキル高め。
・イベント運営スキル。
・常識を弁えるという最も困難な知性を所有。
役者Aに(半ば無理やり)北関東の県へ連れて来られ、役者Aに脚本を提供したり、ホームページや動画を制作して僕らの活動を手伝ってくれるうちにGhostと意気投合。
役者Aと絶縁した後も交流は続きました。
小説家Aさんと僕は”小説”と”ヘビーメタル”と言う共通の趣味があり、さらにはやっぱり変態でした。
かなり早いうちからお互い打ち解け、居酒屋で二人そろってシャウト(僕 → デスボイス。小説家A → ハイトーン・シャウト)してたのは良い思い出です。ちなみに二人ともシラフです。
お店の人には迷惑なので、良い子はルールと節度を守ってシャウトしましょう!
〇最初の公演は練習に近い出来栄え。
さて、イベント制作が進む中、圧倒的に不足している裏方や、資金繰りの適当さ、そして役者Aの……
”作品のクオリティを上げる努力よりも、テレビ局やラジオ局への宣伝してもらおうとする姿勢”
など、引っかかるところが多々ありましたが、この時の僕はつい最近まで普通のサラリーマン。芸術や芸能の世界についてまったく知りません。
なのでツッコミたい気持ちを抑えて、最初は素直に周りの(自称)アーティスト達の言う事を聞くことにしました。
まぁ、それが間違いだったわけですが、それはまた別の機会に(/・ω・)/
さて第一回目の公演はミュージシャンBとミュージシャンDの二人、各々の演奏と、その合間に役者Aのオムニバス形式の”一人芝居”が入り、最後に公演を締めくくる”ちょっと長めの一人芝居”が行われてフィナーレ、と言った流れ。
ざっくりと登場人物たちの仕事内容をまとめると、
ミュージシャンB → 本番にステージで歌う(カラオケ)
ミュージシャンD → 本番にステージで歌う(ギター弾き語り)
役者A → 会場予約(電話一本で終わる)。ステージで演じる(短い一人芝居を三本程度)
ミュージシャンAさん → 音響卓のオペレーター
小説家Aさん → 脚本制作。ホームページや自身の発行するWEB雑誌でのプロモーション。本番では準備作業など全般。
僕 → 脚本制作。演出。舞台監督。ビラ作り。チケット作り。小道具作り。SE制作。本番では照明の配線、設置。音響設備の配線、配置。照明卓のオペレーター。
……いやですね。
演者さんのパフォーマンスを全力以上に発揮できる環境を作り、その上で、お客さんを含めた全ての人の安全を保証する環境を作る事が裏方の仕事だと思っているので、演者さんたちに負荷が少ない事はまったく問題ないんです。
ないんですけど、それにしたって僕の負荷だけ多すぎない?
さてさて、そんな不満を覚えつつも、ちゃんと段取りを整えて、迎えてしまったイベント当日。
ゲネプロ(本番同様のスケジュールで行われる通し稽古)の段階から問題が発生しまくるのですが詳細は次回にて(/・ω・)/
to be continued(/・ω・)/
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます