第15話 どうせ芸能事務所にスカウトされるなら顔で選ばれたい!(血涙)

 前回までのあらすじ


 C社長の無茶ぶりで寸劇の脚本を書く事になった役者A。とはいえ自称、失読症ただの根性無しの彼が脚本なんて書けるわけもなく、Ghostに助けを求める事に。


 ひたすらつまらない物語を口述筆記させて、作家先生気取りの役者A。


 自分がつまらない脚本の制作にかかわっていたと思われたくないGhost。


 二人の思惑を無視して

「この脚本、Ghost君に手伝ってもらっただろ?」

と速攻で看破するC社長。


 各々のしょーもない思惑が渦巻く中、芸能事務所Cの二回目のイベントが始まるのであった。ババン!




〇やっぱ入場料五千円は高いって!


 役者Aと脚本を作った翌週、芸能事務所Cのイベントが開催されました。

 前回はダンサー二人がメインでしたが、今回は女性五人組のユニットが主役です。たった数か月で、よくこれだけの人員を集めたものだなぁ、と感心してしまいましたが肝心のイベントは前回同様……冗長かなぁ、うーん。


 ただし前回と違い、今回は演劇があります。

 僕も関わってしまったのだから一応は見ておいた方が良いのだろうな、と思いステージに視線を送っていたのですが……結局演劇って、脚本がダメだと何をやってもダメなのよ(/・ω・)/


 周りのお客さんの反応も冷ややかです(あくまでも僕の印象ですが)。

 そもそも演じている人たちからも(何このサムい話し?)みたいな雰囲気が漂っている(あくまでも僕の印象ですが)。

 そんな周囲に反してステージ上で我が物顔で芝居をする役者A。彼ひとり鬱陶しいくらいノリノリです。


 うーん、僕が脚本書いたって事を誰にも言わないように、って約束しておいて正解だった!




〇あいさつ、大事!


 芸能事務所Cの二回目のイベントが終わってすぐの事、C社長からメールが届きました。どうやら僕が渡した小説を読み終えたらしく、その感想を伝えるとともに情報交換をしたいから、事務所兼レッスンスタジオに来てくれないか? とのこと。

 自分が初めて書いた作品です。その感想を貰えるとあって、不安と期待を抱きながらも次の週末に事務所にお邪魔します、とメールに返事をしました。



 そして週末。電車で一時間弱ほど移動して芸能事務所Cへ。集合時間より少し早かったのですが、顔見知りだし問題ないかなぁ、と思い事務所に入る事にしました。

 芸能事務所Cはちょっと古びたプレハブっぽい事務所と、その隣にダンススタジオと言った感じの建物でした。とりあえず、事務所に顔を出そうかなーと思ったところ、ダンススタジオの方から研究生? っぽい女の子が数人出てきました。(芸能事務所Cは、この頃には芸能スクールも行っていた。ホント、経営の手早さは凄いと思う)

 とりあえず彼女らにC社長がどこに居るか聞いてみよう。


Ghost

「こんにちは」


研究生たち

「……え、あ、はい?」(怪しそうな人を観察する目つき)


Ghost

「え……あ、あ、あ、あ、あの、C社長いらっしゃいますか? きょ、今日、会う約束してたんですけど」(不審者を見るような目に耐えられず、キョドりだすGhost)


研究生たち

「……え? すぐに戻ってくると思います」(不審者を見る目)


 そう言って、そそくさとスタジオへ戻って行く研究生たち。

 え? ボクなんかした? ズボンのチャックでも開いてた?


 なんて言うか、ボクの勝手な印象なんですが、芸能事務所とか芸能スクールとかの研究生ってすっごい元気で礼儀正しいイメージがあったんですよ。

 常識や礼儀作法までしっかり教え込まれていて、もちろん、お客さんが来たらちゃんと対応。こっちが10の挨拶をしたら100の挨拶を返してくれる……みたいな。


 出鼻をくじかれつつ事務所を覗いてみると誰も居ない。スタジオの方に人の気配はあるのでけれど、さっきの女の子たちがいると思うと入り辛い。

 仕方が無いので外に置かれていたベンチにポツンと座って待つことにしました。もしかして僕は招かれざる客なんじゃないか……と思いながら待つこと二十分ほど、C社長がやってきました。


C社長

「いやぁ、お待たせ」


Ghost

「いえいえ、お疲れ様です」


C社長

「さっそくなんだけどさ。すこしスタジオ見ていかない?」


Ghost

「へ? スタジオ? なんで?」


 正直、さっきの女の子たちがいるスタジオの中に入るとか気まずい。それに小説の感想が気になって仕方がない。

 そんな僕にかまわずスタジオ内に向かうC社長。仕方なく着いて行く、Ghost。


 スタジオの中では講師の方が数人の研究生にストレッチや発声練習など、基本的な事を行わせている最中でした。和気あいあいとした雰囲気で、その様子をジーっと眺める僕は何だかアウェーな気分。

 一応、講師陣は優秀な人を集めたらしく、ダンサーの講師はバックダンサーでMステ出演経験があったり、ボイストレーナーは安室奈美恵さんや倖田來未さんにレッスンをした事があったりと、腕は確かだったようです。


 ぎこちない見学を二十分ほど過ごした後に、C社長の提案で近所の喫茶店へ向かう事になりました。

 喫茶店の席に着くと


C社長

「Ghost君に練習風景を見てもらったのはね、僕らがどれくらい本気でやっているか知ってもらいたかったんだ」


Ghost

「は、はぁ」(本気なら挨拶くらい徹底したほうが良いと思うなぁ……)


C社長

「それでね。Ghost君が同じように本気で取り組んでくれるんだったら、ウチの芸能事務所に来てみない?」


Ghost

「来てみない……は?」


 突然のC社長からのスカウト!

 正直、話についていけないGhost!

 役者Aもそうだけど、彼らは自分のペースで話を進め過ぎなのです。

 そして小説の感想は!?


 to be continued(/・ω・)/

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る